会長挨拶・コメント

定例記者会見

2019年2月20日に開催された会長定例記者会見要旨

皆さん、おはようございます。

本日が今年最初の定例記者会見となるので、前回、昨年11月からの動きを少し振り返りたい。

昨年来の課題となっている米中問題や貿易摩擦、北朝鮮との対話など、いずれも交渉は続いているが、解決の目途は立っていない。トランプ政権も、下院で民主党が多数を占めたことから、予算問題で妥協を余儀なくされ、ロシア疑惑でも追及が強まり、一時の勢いを失っているように見える。加えて、中国経済の減速やBREXITなど、世界の政治・経済は明らかに不確実性、不透明性が増している。

一方で、年末にはTPP11が、2月1日には日EU EPAが続けて発効した。いずれの協定も、貿易・投資を含めた様々な経済活動を包括的にカバーする、高水準の経済連携協定である。今後、これらが、経済連携のモデルとなり、自由貿易の拡大に寄与するものと確信している。

今年は、日本でG20やTICAD7など重要な国際会議が開催される。多くの国々が、政権の動揺やポピュリズムの台頭などで苦しんでいる中、政治も経済も安定している日本が、国際会議のホスト国としてリーダーシップを発揮する事を期待する。そしてWTO改革を含め、新たな多国間の経済秩序作りと自由な貿易・投資の拡大に向けた国際協調の推進に、重要な役割を果たすことを切に願っている。

日本貿易会の活動では、新年度より「SDGsの実現に向けた商社の取り組み」をテーマに特別研究事業をスタートする。SDGsと商社活動は親和性が高く、既に会員各社ではその実現を意識して活動を展開している。特別研究会では、各社の取り組み事例を持ち寄り、外部有識者の力もお借りして、「SDGsの実現に向けどのように商社機能を発揮していくべきか」などを考えていく。研究期間は1年から2年を予定しており、その成果は広く公表させていただく。

私からは以上です。

質疑応答

(記者) 米中の貿易協議は、3月1日の交渉期限内に妥結すると見ているか。

(会長) 米中協議では、比較的短期に解決できる課題とそうではない課題があると思う。関税問題は、何らかの歩み寄りが見られると思うが、知的財産権保護や技術移転問題は安全保障とも関わるので、時間をかけて仕組み作りを協議していく問題だと考えている。

(記者) 伊藤忠商事の社員が中国で拘束されていることについてコメントを頂きたい。また、商社ビジネスへの影響は。

(会長) 本件は、拘束の背景や状況も含めて全容が分かっておらずコメントは差し控えたい。

(記者) Brexitによる日本への影響についてどう見ているか。

(会長) 産業分野や企業によって影響はそれぞれ異なる。製造業、サービス業、金融業など業界により対応策が違っており、その中でも早くから対応を進めている企業、様子を見ながら進めている企業もあり、一概には言えない。

(記者) 中国経済に減速感が広がっており、日本の電子産業にも影響が出始めている。この影響はさらに拡大すると見ているか。

(会長) 中国経済の減速感は少しずつ出てきている。中国国内の自動車販売は2018年に初めて対前年比でマイナスとなり、2019年に入っても伸びていない。部品や建設機械でも、受注が減っている。日本から中国への輸出も、今朝発表の1月貿易統計(速報)で半導体製造装置が対前年同月比で27.8%減と大きく落ち込むなど、影響が出始めている。

貿易に関しては、米中協議で何らかの妥協点を見いだせれば、回復も期待できるが、システム機器もしくはIoT、AIなどについては交渉に時間を要し、回復には少し時間がかかると思う。

中国に進出している日系企業の事業利益にも徐々に影響が出てくる。

(記者) 中村会長は経団連の副会長に内定されたが、抱負を伺いたい。

(会長) 本日は日本貿易会会長の定例記者会見の席であり、経団連の場でお答すべきだと思う。ただ、過去にも日本貿易会会長と、経団連副会長を兼任された方が何人もおられる。商社の業界団体である貿易会の会長として、また経団連の副会長として、互いに発展できるように貢献していきたい。

(記者) 米中の対立を背景に、米国はハイテク分野のへの規制を強化しているが、日本企業への影響をどう見ているか。また、日本については例外扱いするよう要求すべきではないか。

(会長) 影響の有無は、規制がどのように運用されるかによる。この規制が安全保障を目的としていることを考えれば、同盟国である日本企業は対象外とされるべきである。

(記者) 商社業界では、脱石炭、LNG拡大の動きが活発化しているが、この動きをどのように見ているか。

(会長) 脱石炭、CO2削減は、国の方針に沿った対応をしていくことになる。大きな動きとしては、温室効果ガス排出削減の2030年目標、2050年目標があり、徐々に脱石炭の動きが強まると思うが、いきなりCO2排出量をゼロにしようとすれば、LNGへのシフトも難しくなる。一方、足元では、国内で石炭火力の占める割合が高止まりしている。日本のエネルギー政策として、原子力・再生可能エネルギーなどを含めたエネルギーミックスをどうしていくのか、目標と方策を早急に詰めていくことが必要である。経済界としては、政府の方針に加え、ESG投資など投資家からの要請なども考慮した上で、ビジネスを行っていく。

(記者) Brexitに伴い、商社としては認可や登録の対応をどう進めるか。

(会長) 新規商品については認可が必要なのは当然だが、これまで販売していたモノまで認可がなければ、販売できないとなれば、英国の消費者はそのモノを買えなくなる。英国がどういうような形でEUから離脱するのか、早く決めてもらわないと身動きが取れないが、通関業務の混雑、遅延に備え、商品・部品の在庫を積み増すなど、最悪の事態を想定した準備は必要だ。

以上