商社が分かる

商社のダイバーシティ~Diversity & Inclusion~

第4回ダイバーシティ推進セミナー
「ダイバーシティなくして、企業の成長なし」

2016.09.12女性活躍推進

松本 晃

カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO

【ご略歴】

1947年 京都市生まれ
1972年 京都大学大学院農学研究科修士課程修了
1972年 伊藤忠商事入社、医療機器販売の子会社を経て
1993年 ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人へ
同社社長、最高顧問を歴任
2009年 6月 カルビー株式会社代表取締役会長兼CEO(現職)

9月12日、第4回ダイバーシティ推進セミナーを開催。「ダイバーシティなくして、企業の成長なし~JUST DO IT!やるっきゃない!~」をテーマに、プロ経営者として強いコミットメントで組織改革を推進されているカルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO 松本 晃(まつもと あきら)氏より、ダイバーシティ推進について、ご講演いただきました。

カルビー株式会社は、2015年3月経済産業省主催の「ダイバーシティ経営企業100選」を受賞し、また、経済産業省・東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄」に女性活躍推進に優れた企業として、2013年から3年連続選ばれるなど、ダイバーシティ経営の先進企業です。

松本会長は「女性の活躍なしにカルビーの将来はない」とダイバーシティを重要な経営戦略の一つと考え、自ら陣頭指揮を執り、多様な人材の採用と活用を強力に推進しています。その結果、女性管理職比率は、2010年5.9%、2014年14.3%、2015年20%、2016年22%と上昇を続けています。

松本会長のご講演では、

  • カルビーにおけるダイバーシティは成果(業績)を挙げるための組織改革の一つ。就任以降、7期連続増収増益。市場が多様化している時代に、男性中心の社会では市場ニーズはつかみきれない。ダイバーシティを進めなければ、会社は存続できない、勝てない。
  • 経営成功の鍵は「厳しく温かい」変革である。「厳しい」とは結果・成果を求めること。「温かい」とは一人一人が結果・成果を出せるために環境と制度を整え、仕組みを変え、悪しき文化を排除すること。
  • ダイバーシティ成功の鍵は、第一に「トップのコミットメント」、第二に「ゴールセッティング」。2020 年までに女性管理職比率30%を目指す。
  • ダイバーシティは働き方改革とセット。会社が求めているのは、時間ではなく「成果」。ベンチマークをつくれば、変わる。現在、執行役員で、小学4年生と1年生の子供(当時)がいた女性に、就任時「4時に帰る」ことを約束。何の問題も起きていない。ポイントは「権限移譲」。
  • カルビーでは、従業員の生活(ライフ)を重視する意思を示すため、「ワークライフバランス」ではなく「ライフワークバランス」という言葉を用いている。充実したライフが魅力的な人間をつくり、ワークへ好影響をもたらす。
  • 女性は管理職になりたがらないのではない。候補者がいないのでもない。優秀な女性はたくさんいる。男性と女性に能力の違いはない。ただ、女性は男性と違い、実利的であるため、地位や肩書のみには引かれない。責任と報酬のバランスが重要である。

等々、成果を挙げるためのダイバーシティ推進と女性登用等に関するお考えについて、お話がありました。

当日は、ダイバーシティ推進タスクフォース委員会社12社の人事・管理部門のみならず営業部門より役員、管理職、担当者(男女含め)に広く参加いただき(約80人)、質疑応答も活発に行われました。参加者からは、トップのコミットメントの重要性を再認識したこと、意識改革につながった旨のコメントが多数寄せられるなど、非常に好評でした。