「政策としての排出権取引制度」
住友商事(株) コーポレート・コーディネーションオフィス部長(環境ビジネス)
山本隆三 氏
地球温暖化問題とその対策が注目されるにつれ、一部のマスコミでは「排出権取引」を導入すれば、問題は解決するとの論調の記事も目に付くようになってきた。実際には、温室効果ガスの排出権取引の有効性については、経済理論からはかなりの疑問があるように思われる。今回の講義では排出権取引制度の有効性を欧米の例から論じたが、時間の制約があり、環境政策全体の中での位置付けについて論じることができなかった。次の機会があれば、もう少し広い範囲から環境政策を論じさせてもらえればと思う。
<講義のポイント>
1.温暖化問題とその影響
(1)科学的な問題 |
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@気候変動、A海面上昇、B海流、降雨量の変化 |
(2)政治経済的な問題 |
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@環境問題、環境政策は産業政策に A国際交渉、国益を巡る争いに
Bエネルギー問題、成長の制約要因にも
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2.排出権取引制度
(1)利点と仕組み |
(2)世界の排出権市場 |
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@米国、AEU |
(3)京都議定書の排出権市場 |
(4)排出権取引の政策効果−温暖化ガスの排出権取引の効果は経済学的に疑問がある |
3.日本企業の取り組み−日本の省エネ・環境技術を利用した削減と資金援助
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