1.TPPって何でしょう?

それでは、TPP(環太平洋経済連携協定)とは何でしょうか。アジア太平洋協力会議(APEC)のメンバー国であるシンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリの4カ国の間で、関税の撤廃、サービス貿易、投資、金融などについて、自由貿易の障害をすべて除去しようとする自由貿易協定の締結がなされました。これをP4と呼びます。その後、2010年に米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアの5カ国が交渉に加わって9カ国となりました。そして2012年にはさらにカナダ、メキシコが交渉参加を表明して11カ国となり、日本も国論を2分する激論となりましたが、2013年3月15日、政府はTPP交渉に参加することを表明しました。

2.TPPで何を決めるのでしょうか?

日本が国内の激論の末に交渉参加を決めたTPP、そこで一体何が決められるのでしょうか。
基本的には、EPAと同じように、国境を越えた経済活動をスムーズにするための必要なルールを決めることです。ただ、今までのWTOやEPAで議論されてきたよりも多くの項目が対象になっていて、さら高いレベルの自由化が目標とされています。ちなみに、よく耳にする関税撤廃、削減に関しては、“物品市場アクセス”という項目で話し合われますが、必ずしも全ての品目が対象となるのではなく、最終的には交渉全体のパッケージの中で決まることとされています。

交渉分野は以下の21分野にわたります。これまでEPAで議論されてきた関税やサービス、投資などに関するルール以外にも、環境や労働者保護に関する項目など、自由貿易に必要なあらゆる項目が幅広くカバーされています。

3.TPP参加のメリット・デメリット

TPPに参加するとどうなるのでしょうか。
まず、加盟国の間でより自由な貿易が実現すれば、経済が活性化し拡大するという大きなメリットがあります。
例えば日本からの輸出では、輸出先国の関税が無くなることで、関税分のコストがなくなってその分従来より販売価格が下がり、輸出品の販売量が増えることが期待できます。そうすると、日本での生産が増え、さらに関連企業の仕事も増えて雇用が増えます。コストを下げるために外国に工場を移転して生産しなくても済むかもしれません。
具体的な例として、アメリカとの貿易のことを考えてみましょう。近年、韓国は自動車や家電などの分野で日本の最大の競争国となっています。韓国は既にアメリカとの間でFTAを結んでおり、アメリカへの輸出において関税が引き下げられる予定であり、日本より有利な条件で輸出ができることになります。
TPPは、日本にとってこのような不利になってしまっているビジネス環境を、不利ではない状況に戻す手段でもあります。このまま不利な状態が続けば、日本からの輸出は厳しく、日本企業はより良い条件で競争ができる海外へと出て行ってしまうかもしれません。
TPPに参加することで得られるメリットがあると同時に、参加しないままでいるとデメリットも大きいのです。
TPPへの交渉参加表明に合わせて、政府がTPPの経済効果について試算を公表しました。その試算によると、現在TPP交渉に参加している11カ国との間で全ての分野の関税が撤廃されたと仮定すると、外国品の輸入が増える一方、それを上回る日本からの輸出と投資、国内消費が増えて、日本の実質GDPを年間で3.2兆円増やす効果があるとのことです。

4.自由貿易圏の拡大

今、世界では3つの大きな通商交渉が進められています。その一つが「TPP」で、もう一つが米国とEUによる「米欧FTA」、そしてASEANを軸に中国などが入る「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」です。

さらに、アジアにはアジア太平洋経済協力会議(APEC)を発展させて、2020年に中国、韓国など約21カ国・地域が入る「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」を作る構想もあります。この構想が実現すると世界のGDPの約半分を占めるような巨大経済圏ができることになります。

TPPは、このFTAAPのルール作りへの道筋になるだろうと言われています。日米がTPPで作る新たな貿易ルールは、その先を見つめているのです。
 

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