商社が分かる

商社の活動 経済発展への関わり

経済発展への関わり

商社が、最初からこれほどまでに多様な事業を手がけていたわけではありません。それは、時代の流れに応じて、次々と業容を拡大してきた結果です。商社の活動は時代とともに変貌し、都度新しい分野での展開を模索してまいりました。

戦後復興期 繊維・食品などの軽工業
高度成長期 鉄鋼・機械・プラント・石油化学などの重化学工業
石油ショック後 資源・エネルギー調達、代替エネルギー開発
プラザ合意後 製造業の海外シフト、輸入促進、ODA、通信など内需関連産業
90年代~21世紀 IT産業、LTの充実、FTの高度化、先端技術産業、環境関連産業

戦後の復興期においては、まず人々の生活を充足することが最優先事項でした。そうした中で商社の活動領域は、繊維、食品などの軽工業を中心として始まります。
その後、日本経済が高度成長期に入ると、おりからの重化学工業の発展に伴い、鉄鋼、造船、重機械、輸送機械、電機、化学などの分野で活動が広がります。貿易立国・日本の「貿易の尖兵」として、商社マンは全世界にネットワークを展開していきました。

1970年代に日本経済が石油ショックに見舞われると、資源の安定供給が商社の重要課題となります。資源の開発輸入や代替エネルギー開発といった、大型プロジェクトへの取り組みが増え始めたのはこの頃です。また日本人の生活水準の向上に伴い、都市開発や住宅供給事業も伸長しました。

1980年代後半にプラザ合意を経て為替レートが円高に向かうと、海外への直接投資や製造拠点の海外シフトが盛んになります。商社はとくにアジアなどエマージング経済圏での活動を深化させます。同時に輸入促進やODA事業への取り組みも拡大しました。国内では、内需拡大を目指し貿易以外の新しいビジネスの分野への挑戦もさかんに行われ、衛星事業や番組供給といった新しい領域が開拓されました。

1990年代の商社は、国内のバブル終焉による景気低迷の中、経営効率を図るとともにIT産業への参入、LT(ロジスティクス・テクノロジー)機能の充実、FT(ファイナンス・テクノロジー)機能の高度化、先端技術分野やヘルスケア・ライフケア分野ならびに環境関連分野など新たな分野での商圏開拓にも挑戦してきました。

21世紀を迎え世界経済のグローバル化がより一層進み、欧州では通貨が統合され単一通貨ユーロを使用する市場圏が誕生しました。世界経済危機を経て、新興国経済が台頭する中、日本経済は大震災もあって産業構造転換を迫られています。こうした環境の下、商社は資本効率の改善や収益力の強化、リスク管理能力の向上など、みずからの構造改革を進めるとともに、BRICSをはじめとする新興国への新たな市場開拓、資源・エネルギー安定供給のための投資、地球環境保全のための再生可能エネルギー事業の開拓など、次代に向けてさまざまな取り組みを行っています。

このように、時代に合わせて、あるいは時代を先取りして、商社は機能を変化させてきました。この柔軟性こそが、商社の最大の強みなのです。