米国の多様性の強み

イナバタ・アメリカ(稲畑産業米国現地法人)
ロサンゼルス事務所所長
Tim Burbey

1.シュワルツェネッガー州知事の挑戦

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 カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー州知事は就任早々、州財政のあまりの厳しさに直面して「俳優に戻りたくなった」と冗談交じりに話しました。しかし知事の発言が本当に冗談だったことは私たちカリフォルニア州の住民には幸いでした。
 オーストリアからの移民であるシュワルツェネッガー氏の知事就任はカリフォルニア州の多様性を象徴する恰好の例です。シュワルツェネッガー知事の企業重視の姿勢は国際的なビジネスを展開する商社にもプラスに働くに違いありません。組織の健全運営にはさまざまな要素が絡みますが、ポジティブな政治環境は多種多様なアイディアや適切な企業文化を持つことと同様、極めて重要です。

アーノルド・シュワルツェネッガー州知事
アーノルド・シュワルツェネッガー州知事(Getty Images)
 過去5年間、カリフォルニア州の収入は25%しか伸びなかったにもかかわらず財政支出は43%も増加しました。企業人からすれば「州が太り、結果380億ドルもの巨額な財政赤字が生まれた」といったところです。
シュワルツェネッガー州知事のビジネスリーダーに対するメッセージで重要なのは「カリフォルニア州をビジネス展開の場として魅力的な土地に戻す」という点です。これはさらに高い税金を課して企業を窒息させるのではなく、支出削減により巨大な財政赤字の問題に取り組むことを意味しています。
 州経済の再建にあたり、まずは労災補償制度の改革です。現在カリフォルニア州の労災補償コストは米国随一で全米平均のほぼ2倍です。さらにカリフォルニア州の企業は他の米国西部の州と比べ約2倍のエネルギーコストの支出を余儀なくされています。今後エネルギーの供給量を増やさないかぎり、一層のエネルギーコスト高やエネルギー不足に直面するであろうことは明白です。シュワルツェネッガー知事は新発電所や水素などの新しいエネルギー源への投資が促進されるような環境整備を約束しています。
ハリウッドのおなじみの画像
ハリウッドのおなじみの画像(Getty Images)
 グレイ・デービス前州知事が行った自動車税の増税が最近撤廃されたことが示すように、シュワルツェネッガー知事は増税しないだけでなく、可能なら減税も実行する、という意思を明確にしています。巨額の財政赤字を抱えながら、こうした財政政策を展開するのは容易なことではありません。しかしネバダ、アリゾナ、テキサスなどの税率の低い州に企業が逃避するのを防ぐためにも、カリフォルニア州は税の問題に真剣に取り組まなければならないのです。
 いずれにしても、オーストリアの移民が世界でも有数の力をもつ州知事の地位に上り詰めたわけですが、文化の発展は出所のいかんを問わず常に用いうる最良のアイディアを組み合わせていくことにより可能となるものだと思います。
 成功する会社は素晴らしいアイディアを上手に取り込みます。米国と日本は世界の二大経済ですが、最も高く評価されている商習慣の多くは親密なパートナーである、この2ヵ国から生まれていると言えます。稲畑産業としては米国の最良の商習慣を吸収、日本の最良のビジネス・スタンダードに組み入れることでトップクラスの国際的企業となることをめざしたいと思います。

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