会長挨拶・コメント

定例記者会見

2020年9月23日に開催された会長定例記者会見要旨

本日は、菅新内閣への期待、及び自由貿易・経済連携の維持発展について申し上げる。

新内閣は、各所に政策に通じた実力派が配された、「政策遂行内閣」といえる布陣と考える。知識人も活用しながら「コロナ感染拡大の防止徹底」と「経済活動」の両立に最優先で取り組んで頂きたい。

保護主義的傾向が強まる通商政策への対応、エネルギー・環境政策の抜本的見直し、デジタル化進展に伴うルールの整備など、内政外交ともに課題が山積である。菅総理には、豊富な政治経験を活かし、これらの課題に取り組み、新しい日本をつくって頂くことを期待している。

次に、自由貿易・経済連携の維持発展について申し上げる。先日、日英EPAの締結に向けて大筋合意に達したことが発表された。コロナ禍の中、極めて短期間で交渉をまとめられた両国政府関係者の尽力に感謝申し上げる。一方、英EU間のFTAについては早期締結に悲観的な報道も出ており、交渉は予断を許さない状況と理解している。英国のEU離脱が経済面で大きな影響を及ぼさないことを願って、引き続き注視していきたい。

目下、政府関係者は世界最大級の広域経済圏をカバーするRCEPの交渉妥結に向けて尽力されていると認識している。新政権には、自由貿易体制の維持・推進に向け、大局的・戦略的思考を持って、RCEPはもとよりWTO改革などにもリーダーシップを発揮して頂きたい。

最後に、日本貿易会月報についてPRさせて頂く。9月号では、当会会員商社が積極的に取り組むESG推進活動を取り上げている。また、当会の貿易動向調査委員会委員長が分析した「2020年上半期の日本の貿易動向と今後の注目点」と題したレポートを掲載している。ご一読頂ければ幸いである。

質疑応答

(記者) ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイによる大手総合商社5社への投資に対する評価と今後の期待について

(会長) バフェット氏は、個社ではなく日本の大手総合商社5社に投資した。総合商社の将来の成長を理解しようという、グローバルスタンダードで判断する海外の大手投資家が出て来たことをまずは歓迎したい。一方、株主との対話を充実していく必要もある。そういった意味で、歓迎と緊張の両面がある。

(記者) 「デジタル庁」設置など、政府の組織変革について

(会長) コロナで色々な課題が浮かび上がり、デジタル化の推進が必要であることが明白となり、「デジタル庁」の設置は当然の流れと考える。新内閣には、各省庁で分かれている仕組みを統合して頂くことに期待している。これは相当な大仕事であるが、各省庁の英知を結集して、政治主導で進めてほしい。日本が世界に伍していくにはDX(デジタルトランスフォーメーション)は必須である。政府には、DXの推進とあわせて雇用対策やリカレント教育などにも取り組んでもらいたい。

(記者) 米国が中国に対してデジタル分野での締めつけを一段と強める中、米中関係に対する見方について

(会長) 米中の対立は、地政学的には必然的なことでもある。対立の初期段階ではハードウェアが対象であったが、今や対立の争点はソフトウェアに移行した。ソフトウェアは色々な分野で結びついており区分けすることは難しい。対立の結論を出すのは極めて困難だ。米中両国と関係の深い日本は今後難しいかじ取りを求められ、どのような立ち位置を定めるかが重要になる。

(記者) ブロック経済化の流れも見られ、日本としての経済安全保障の観点が高まりつつある中、新政権の通商政策に対する期待について

(会長) 日本は、食料を含めた資源に乏しいため、安全保障の観点から、資源を確保するための経済政策が必要である。また、日本は世界各国に生産、販売拠点をもうけて発展してきた国であり、ブロック経済化の流れに一線を画し、中立の立場を保つ必要がある。そのためにも新政権には、自由で開かれたインド太平洋戦略の下、アセアンとの連携を広げ、インドを含めたRCEPの妥結に向け引き続き交渉して頂きたい。

以上