会長挨拶・コメント

定例記者会見

会長定例記者会見(2021年7月21日)要旨

新型コロナウイルス関連について。
 変異株の流行や人流増加で新規感染者数が再び増加傾向にあり、東京都に4回目となる緊急事態宣言が発令された。現状に鑑みると致し方なく、当会も強い危機感を持って受け止めている。
 一方、ワクチン接種が進み、重症率や死亡率の低下といった効果が出始めている。一定の効果が確認できた後、政府には、経済政策の面からどのような施策を打ち出すべきか検討いただきたい。またコロナ感染対策の観点から、情緒的な説明にとどまらず、科学的な事実に基づき感染状況の予測を示していただきたい。
 職域接種では、当会会員を含めて申請が認可されてない、あるいはワクチン到着を待っている企業・団体があり、適切な説明と迅速な供給に努めていただきたい。

東京オリンピック・パラリンピックについて。
 多くの競技会場が無観客になったことは、人流活発化による感染拡大リスクを考えれば、やむを得ない。安全・安心な競技環境の下でアスリートの方々が活躍できるよう、関係各位には大会運営に尽力いただきたい。

次期(第6次)エネルギー基本計画について。
 2030年度までの温室効果ガス13年度比46%以上の削減、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた、具体的なエネルギー政策を示すものであり、日本経済の将来にとって重要なプランになる。
 太陽光や風力等の再生可能エネルギーを増やすことは当然必要だが、一方で、再エネの普及には未だ多くの課題があり、電力の安定供給のため、バックアップ電源としてのLNG、石油等をすぐに止めるわけにはいかない。また、ノンカーボン電源として原子力は選択肢の一つと考えるが、既存の原発だけでは必要量を充足できない。
 政府には、各電源構成の比率をどうするか、またそのために必要な施策やプロセスを示していただきたい。

国際法人課税ルールの見直しについて。
 20カ国・地域の財務相・中央銀行総裁会議において、国際的な法人課税に関する新たなルールの大枠が合意された。世界共通となる「少なくとも15%」という最低税率の設定と、巨大IT企業等を念頭に置いたデジタル課税の導入に向け、大きく前進した。10月に最終合意がなされれば、物理的な拠点の有無を課税の原則としている現行ルールが、ほぼ100年ぶりに転換されることになる。政府には、国際的に公正な課税制度の構築に向け尽力いただきたい。

質疑応答

(記者) ワクチン接種証明書への期待と課題は?

(会長) グローバルな経済活動を展開する企業にとって、人の移動制限は致命的な障害だ。証明書の導入で、科学的に裏打ちされた安全な人の流れを確保し、移動制限が緩和されることを期待したい。ただし、ワクチンを接種しない人への差別は防がなければならない。また、証明書のデジタル化も検討をお願いしたい。

(記者) 次期エネルギー基本計画で再エネの電源構成比率を36%~38%に引き上げるとの報道があるが、受け止めは?

(会長) イノベーション、投資、コスト、テクノロジーを含め、どのようにして新たな再エネ比率を裏打ちするのか、政府は実現性を示す必要がある。

再エネ以外の電源をどのような割合で確保するかという政策も非常に大事だ。その意味で、原子力発電をどう活用していくかも、次期計画の重要な要素である。

(記者) 次期エネルギー基本計画に関連し、原発の新増設、リプレースについての見解は?

(会長) 原発を再エネ以外のバックアップ電源、基礎電源の1つに位置付けるならば、規制委員会と連携し、安全・安心の観点からもよく検討する必要がある。

(記者) 欧州で全ての車をEVにする動きがあることへの見解は?

(会長) 欧州の基準が普遍的になるとは考え難い。自動車市場は欧州より米国や中国の方が大きく、今後は東南アジアも拡大していく中で、EUの規制が及ぶ市場をどうとらえるかが重要だ。自動車製造におけるカーボンニュートラルの定義を含め、世界経済の成長を抑制しないよう施策を練っていく必要がある。

(記者) 東南アジアでコロナ感染が急拡大しているが、現状認識とその影響、見通しは?

(会長) 深刻な状況にあり、現地に進出している本邦企業は、従業員の安全確保を第一に対応していると認識している。

インドネシア、マレーシア、ミャンマーでは、駐在員を一時退避させる企業が増えている。タイでは、コアメンバーを残して一時退避を考えている段階である。一時退避後は現地パートナーとオンラインコミュニケーションを通じ事業を継続しているが、さらなる感染拡大で事業継続が難しくなることを危惧している。また、コロナの影響と特に輸送機器製造業における半導体不足が相まって、経済はさらに悪化しつつあるとみている。

以上