会長挨拶・コメント

定例記者会見

会長定例記者会見(2021年11月17日)要旨

コロナ関連について。
 感染リスクの排除や、拡大・収束等の正確な予想が、依然として難しいのは、ご承知の通り。
 先日、政府から対策の全体像が示された通り、今後は、日本全体が「ウィズコロナを前提とし、社会経済活動を行う」という意識に切り替えていくことが必要だ。
 政府には、医療提供体制のさらなる拡充や、ワクチン・治療薬等へのアクセスを容易にし、感染時には、すぐに適切な処置を受けられる「セーフティネット」を一刻も早く構築いただきたい。
 先般施行された水際対策の緩和は、ビジネス往来を正常化させるための重要な一歩として歓迎しているが、一方で手続きの煩雑さが指摘されている。政府には、デジタル技術を活用した手続き、運用等の簡略化を積極的に進めていただきたい。

11月30日からスイスで開催される第12回WTO閣僚会議について。
 自由で開かれた国際経済秩序の再構築に向けた、ルールの見直し、紛争解決機能の回復等の懸案事項について、目に見える成果が得られることを大いに期待する。
 コロナへの対応や大国間の対立等を背景に、秩序が揺らいでいる中、WTOが果たすべき役割は極めて大きいと考える。人、モノ、カネ、サービス、データ等の国境を越えた自由な移動を制度的に確保し、世界のサステナブルな経済成長にもつながるルール作りに取り組んでいただきたい。

11月13日までイギリスで開催されたCOP26について。
 事情や立場の異なる国々が、パリ協定の「1.5度目標」を確認する等、一定の合意がなされたことを評価する。
 今後、まずは各国が約束した目標を着実に実行しつつ、またさらに踏み込んだ温室効果ガス排出削減の対応を取っていくことが求められる。
 商社業界としては、引き続き気候変動を最優先の課題と捉え、政府ともよく連携し、国情や国益を踏まえた上で、事業活動を通じた解決に取り組み、世界全体のカーボンニュートラル実現に向けて貢献していく所存である。

中国の内政・外交に関する直近の動きについて。
 11月11日に閉幕した6中全会では、共産党にとって3回目の「歴史決議」が採択された。習近平体制が慣習を超え3期目の「新時代」に突入し、今後は「共同富裕」を軸とした経済の底上げ等、「新しい中国」を推し進める動きが加速すると予想される。
 外交面では、16日に行われた米中首脳会談において、人権や台湾問題等の個別テーマでは応酬があったものの、トップ同士が、オンラインとはいえ、直接の対談を通じて関係改善の糸口をつかもうとしたこと自体は、前進であると認識している。
 米中関係の安定は、国際社会にとって極めて重要であり、わが国を含む世界各国は、中国で起きている変化を冷静に見極め、適切に対応していく必要があると考える。

質疑応答

(記者) COP26では、石炭火力について一定の合意があったが、商社はカーボンニュートラルに向けどのような貢献が可能と考えるか?

(会長) 個社ごとにアプローチの仕方は異なるが、業界としては2050年カーボンニュートラルを目指し活動していく。石炭火力についても、COP26の合意内容に沿って活動し、努力していくことがコンセンサスだと考える。

(記者) 気候変動について、国益を踏まえ事業活動を通じた解決に取り組むとのことだが、具体的には?

(会長) 気候変動への対応はエネルギー政策と表裏一体である。COP26で合意された目標達成に向け、いかなる時間軸で、どのようなエネルギー政策を取っていくかが重要だ。

現エネルギー基本計画では2030年度の再エネ比率を4割としているが、実体経済やエネルギーコストに鑑みる必要がある。期間内に技術革新が起こらないと仮定すれば、原子力にも焦点を当てるべきである。カーボンニュートラルを目指し、石炭火力の割合を減らす場合、安全が担保された原子力の活用につき、議論を再開する必要があると考える。

(記者) 原油価格高騰の日本経済への影響は?

(会長) 原油のみならず、資源価格が高騰していることは、商社業界として懸案事項だ。日本は、資源を輸入・加工しエネルギーに変換しており、経済へのダメージが大きい。特に、原油はガソリン価格、ガスは電力価格に影響を及ぼし、直接生活に関わるため、非常に憂慮している。調達先多様化等の手は打っているが、資源価格はコントロールできない。一方、産業を回していくために、資源の供給は継続する必要がある。

(記者) 為替が円安に振れているが受け止めは?

(会長) ひと昔前は、円安により輸出および経済が伸びたが、今は必ずしもそうではない。円安により、原料の輸入価格が上がり、コストプッシュを引き起こすが、必ずしも売価に転嫁できるわけではなく、「良い円安」ではない。

また、日本全体として、円安により享受できる利益が、年々小さくなっている。かつては商社も為替変動の影響を大きく受けていたが、現在は輸出入を均衡させるような政策を取っているため、特段、円安による好ましい影響はない。

以上