会長挨拶・コメント

定例記者会見

会長定例記者会見(2022年5月18日)要旨

ウクライナ情勢と、日本のエネルギー政策について。
 ロシアのウクライナ侵攻により、今もなお、一般市民の尊い命が失われている。犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表する。一刻も早く、事態が正常化することを切に願っている。
 ロシアの武力による一方的な現状変更に対し、G7を中心に各国が連携し、経済制裁を科している。エネルギーについても、各国がロシアからの輸入削減に向けた努力を行っている。現時点では、わが国や欧州諸国などにとって、ガスを含むエネルギー全般の即時かつ全面的な禁輸は難しい状況だが、中長期的には、ロシアへの依存度を減らすため、各国が引き続き努力すべきと考える。日本政府には、エネルギー自給率が10%程度に留まっているというわが国特有の事情や、2050年カーボンニュートラル実現という目標などを踏まえ、エネルギー源の多様化と、安価かつ安定的なエネルギーの調達に向けて、全力を挙げて取り組んでいただきたい。具体的には、国内で生産可能な再生可能エネルギーの活用拡大、また、安全性の担保を大前提とした原発の再稼働および新設に関する議論を真剣に進めていくなど、あらゆる手を尽くしていただきたい。
 エネルギーを取り扱う商社業界としては、安定供給の重要性に加え、それが毀損した場合の日本の社会・経済への影響を総合的に勘案し、適切に対応していく必要があると考えている。エネルギー安全保障にも関連する非常に難しい問題であり、引き続き、パートナーや日本政府とも連携して対処していく所存である。

中国のゼロコロナ政策と、世界経済への影響について。
 ゼロコロナ政策に基づく、上海のロックダウンや北京など中国各地におけるさまざまな規制に端を発し、世界的なサプライチェーンの停滞が発生している。サプライチェーンの中核である上海については、ロックダウンが6月に解除される方針が示されたが、足元では機能不全に陥っていること、また正常化まで一定の時間を要するであろうことは、今後、中国経済やコロナからの回復が期待される世界経済にマイナスの影響をもたらすと考えている。グローバルに貿易・投資を手掛ける商社業界としては、今後の中国の動向や世界経済への影響を注視していく所存である。

経済安全保障推進法について。
 地政学リスクの先鋭化など、国際情勢の複雑さや不確実性が増している中、経済安全保障は、日本国民の生活や自由で安全な経済活動を守り、国際競争力を一層高める上で、極めて重要な政策であり、今回、法的な枠組みが整えられたことを大いに歓迎する。商社業界としても、サプライチェーンの強靭化をはじめ、経済安全保障の一翼を担っていく所存であるが、推進にあたっては、わが国の国益を踏まえた上での産業競争力の維持・強化の観点から、官民が一層連携していく必要があると考える。また、経済安全保障の取り組みにおいては、わが国の成長戦略に不可欠である企業活力を極力阻害しないことも重要である。推進法の適用に当たり、企業の予見可能性を高めることや、規制を必要最小限にすることなどを通じ、企業活動や経済の自由度を可能な限り担保し、事業者の負担を軽減するよう、配慮していただきたいと考える。

質疑応答

(記者)2022年1-3月期のGDPが2期ぶりのマイナスとなったが、受け止めと先行きの見通しは?

(会長)日本経済のインフレは原材料価格の上昇等によるコストプッシュ型であり、これを消費など需要の拡大によるディマンドプル型の良いインフレに転換していきたいが、1-3月期におけるGDPの年成長率がマイナスであることは、コストプッシュ型から抜け出せていないことを意味しており、残念である。

商社はさまざまな業界と接点があるが、各業界は総じて増益基調にあり、日本経済は回復基調にあると考える。足元では円安と資源高という2つの影響を受けているが、今後はなだらかな成長曲線をたどると考える。大手企業の成長が中小企業にも伝播し、中小企業を含めた全体的な賃金上昇を通じて需要が喚起されることで、ディマンドプル型のインフレになることが望ましい。

(記者) ロシア経済制裁が長引くことによる商社業界への影響は?

(会長)各社とも多少は影響を受けているが、それを含めて増益基調にある。経営に支障をきたすような大きな影響はないと考えている。

(記者)石油やLNGの即時代替調達は難しいのでは?

(会長)石油は産油国が70カ国ほどあり、先物・スポットなど市場も十分機能している。

石油タンカーは4,000-5,000隻ほどあり、受け入れ基地もある。よって、高いコストを払えばある程度調達できる。

これに対し、LNGの生産国は19カ国しかなく、市場に集まる量も少ないので、短期の調達を繰り返す必要がある。またLNG船は600-700隻しかなく、受け入れ基地の建設には多額の初期投資と5年程度のリードタイムが必要であり、一朝一夕にはいかない。

代替先の確保は不可能ではないが、調達コストの増加はわが国の産業競争力に影響を及ぼすため、外交・通商努力や代替エネルギーの検討などが課題であると認識している。

(記者)政府が検討しているクリーンエネルギー戦略に対する要望は?

(会長) 安全性の担保、住民の理解を大前提とした原発の再稼働および新設に関する議論の積み上げを望む。

以上