WTOは1995年に作られた国際機関です。世界で自由に貿易が出来るようにするため、WTOの前身であるGATT(関税および貿易に関する一般協定)の時代から、関税を引き下げる交渉や、非関税障壁(関税以外の方法で輸入制限などを行うこと)を無くす交渉、また農産物貿易、サービス貿易、知的財産権の保護(発明をした人たちの権利を守ること)に関する交渉などたくさんの交渉を行いました。ガットが世界の自由貿易の推進に果した役割は非常に大きく、FTAやEPA交渉の基礎となっています。
ガットの基本原則は2つあり、①ガット加盟国間相互に最善の条件で貿易を行う最恵国待遇と、②外国から輸入された商品やサービスに対して、差別待遇をせずに国内のものと同等に扱うという内国民待遇です。
たとえば、日本がアメリカに自動車を輸出するときに、アメリカが日本の自動車には高い関税率を掛けて、韓国からの自動車には低い関税率を掛けたら、日本の自動車は韓国より高い価格で販売されることになり不利となります。それでは困るため、日本の自動車にも同じ低い関税率を掛けるようにしてもらうルールが必要となります。これを最も恵まれた条件の国と同じ待遇を受けるということから、「最恵国待遇」といいます。また、アメリカ国内で販売するときに、アメリカの自動車には低い税金を掛けて、日本の自動車には高い税金を掛けたら日本の自動車は販売価格が高くなり売れなくなります。やはりそれでは困るため、日本の自動車もアメリカの自動車と同じ扱いにしてもらうルールが必要となります。アメリカ国内の製品と同様に扱われる待遇を受けるということから、これを「内国民待遇」といいます。
また、WTOは貿易のためのルール作りに加えて、貿易に関して起こったメンバー国間のもめごとを解決するためのシステム(紛争解決機関)も作っています。