アジア
太陽光発電
風力発電
地熱発電
バイオマス発電
その他
経済成長の著しい中国をはじめとするアジアの新興国では、電力需要が急激に拡大しており、グリーン・エネルギー発電の積極的な導入が図られています。
中国では、最近、風力による発電の伸びが著しく、2009年から毎年1,000万kW以上の容量増強をしており、合計7,500万kWと世界最大の風力発電能力を持つまでに成長しました。日本の商社が開発に関わった中国内蒙古自治区の風力発電事業は、2009年より本格的な商業運転を開始しています。さらに中国は、2020年に風力発電の容量を現在の2倍の約1億5,000万kWまで拡大する目標を掲げており、今後も風力発電を積極的に開発する計画です。また、国際エネルギー機関(IEA)は、日照量が多く大規模な土地が確保しやすい砂漠地帯を太陽光発電に最適な場所として注目し、中国とモンゴルの間に広がるゴビ砂漠に大規模太陽光発電システムを設置する計画を検討中です。
タイは、東南アジアで最も早く再生可能エネルギーに関する政府支援制度を導入し、環境対応型再生可能エネルギー利用の発電事業を奨励しています。タイ政府は2020年までに全エネルギーの20%を新エネルギーとする計画であり、メガソーラー(大規模な太陽光発電)の開発が積極的に進められています。タイに建設されることが決定した世界最大級の太陽光発電所の開発には、日本の商社も参画しています。
韓国では、2001年にFIT制度(Feed-in Tariff/固定価格買取制度)が政府主導でいち早く導入され、太陽光発電事業が進んでいます。2012年以降はRPS制度(Renewables Portfolio Standard/電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)の導入によって、今後も市場拡大が見込まれます。日本の商社は、韓国の大手太陽光発電システムインテグレーターへの出資を通して同国の市場に参入しています。
インドネシア、フィリピンには火山が多く、その地熱を利用した発電プロジェクトが進められています。インドネシアは、世界最大級の地熱エネルギー保有国であり、そのポテンシャルは同国の総発電設備容量に相当すると推定されています。インドネシア政府は、豊富な地熱エネルギーの早期開発・有効利用を目的に、地熱発電設備容量を2020年までに600万kW、2025年までに950万kWまでに引き上げる計画であり、今後も有望な開発国として注目されています。
フィリピンは国策として、再生可能エネルギーを活用した発電を強化しています。特に地熱発電については、1972年に地熱発電に関する大統領令で開発業者への優遇措置を施し、現在では発電設備総出力の約4分の1を地熱発電で賄うという、米国に次ぐ世界第2位の地熱発電所保有国となっています。また、2007年には普及を目指した「バイオ燃料法」を施行し、2008年には大胆な優遇措置を定めた「再生可能エネルギー法」が施行され、さらに導入が決まっていたFIT制度の買取価格が2012年に決まりました。こうしたことにより開発案件が急増しています。
日本の商社は、こうしたプロジェクトへの出資や、設備機器の受注、ファイナンスの提供、リスク管理機能など幅広い商社機能を発揮し開発に取り組んでいます。
日本の風力発電の規模は、2012年が約270万kWで、設置コストの上昇や売電価格の低下、建設適地が少ないこと、許認可の壁が厚いなど、周辺環境との調和や技術開発などが課題となっています。太陽光発電については、2009年度より「太陽光発電による余剰電力買い取り制度」が導入され、2012年からはFIT制度がスタートしており、普及に弾みがついています。
商社の活動事例
社名 | 事業案件 | |
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日鉄住金物産 | タイ/アユタヤ県・太陽光発電事業 |
タイの太陽光発電事業運営会社のロジャナ・エナジー社に30%出資。大規模太陽光発電事業に参入 | ||
タイの太陽光発電事業運営会社のロジャナ・エナジー社に出資(2011.09)。タイ国アユタヤ県のロジャナ工業団地内77万㎡(東京ドーム約60個分)に最大出力2万4,000kWの発電能力を有する太陽光発電設備を設置。 | ||
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住友商事 | インドネシア、南スマトラ・ウルブル/地熱発電事業 |
インドネシア、南スマトラのウルブルでインドネシア国営電力会社PT. PLN向け地熱発電所を建設 | ||
インドネシア、スマトラ島の南端、ランプン州タンガムス県ウルブル郡に、スマトラ島における初の大型地熱発電所を建設。建設資金は日本政府の円借款を用い、2012年10月に完工。今回のウルブル地熱発電所を新たに加え、住友商事が関わった地熱発電所の全世界での総容量は約2,200メガワットに達しました。 |
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