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欧州

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2001年に出されたEU再生可能エネルギー指令(2010年までにその電力消費量の12.5%を再生可能エネルギーで賄うという目標)がかかげられたことにより、多くの国が再生可能エネルギーへの大規模な投資を進めるため、電力のFIT制度(Feed-in Tariff/固定価格買取制度)の導入をはじめ、税制優遇等の政策的な後押しを行ってきました。

ドイツでは、再生可能エネルギーの比率を2020年には35%にしようという目標を掲げ、電力のFIT制度の導入をはじめとした再生可能エネルギーの普及を後押しする制度、法律を整備し、政府主導でエネルギー源の多様化を推進しています。現在ドイツは、太陽光発電で圧倒的に世界をリードし、また風力発電でも欧州1位の設備容量を誇っています。このような状況の中で、日本の商社は、ドイツ南部・ベッツヴァイラーの太陽光発電所を操業するほか、現地の太陽光発電システムインテグレーターと資本提携するなどして、同国の太陽光発電市場に参入しています。

スペインも、グリーン・エネルギーの導入を積極的に行っている国の1つです。風力発電の設備容量はドイツに次ぎ欧州第2位です。また、2007年の太陽光発電のFIT制度の導入により、太陽光発電の普及が一気に進みました。最近のトレンドとも言えるメガーソーラー(大型太陽光発電)の開発も進められています。スペインのテネリフェ島に建設された大型の太陽光発電所や、スペイン南部のコルドバ市で建設中の太陽光発電所は、日本の商社が手掛けたものです。また、スペインのカタルーニャ地方では、日本の商社が保有する太陽光発電事業会社が操業を続けています。

イタリアでも、グリーン・エネルギー需要の高まりを背景に、既存の太陽光発電に関する補助金制度が整備され、急速に太陽光発電システムの設置が進んでいます。日本の商社は、現地の太陽光発電システムインテグレーターへの出資を通して事業を拡大しようとしています。

イギリスでは、立地の確保や騒音などの環境問題を心配する必要がないことから、風力発電の重要な分野になりつつある洋上風力発電に着手し始めました。2020年までに合計3,200万kWの大規模な洋上風力発電を実現する計画を持っており、これは同国の全消費電力の約3割にも相当するものです。すでに商業運転を開始している英国ガンフリート・サンズ洋上風力発電事業には、日本の商社が本格的な出資参画をしています。

EU諸国の中で日射量が最も豊富な国のひとつであるポルトガルでは、世界最大の太陽光発電事業が計画されており、この事業に日本の商社も参画しています。

フランス、ノルウェー、ギリシャ、チェコなどの太陽光発電事業も、日本の商社の投資先となっています。

商社の欧州での活動事例を見ると、太陽光発電を中心に、風力発電へも参画していると言えます。IEA(国際エネルギー機関)は、日照量が多く大規模な土地が確保しやすい砂漠を太陽光発電に最適な場所として注目し、サハラ砂漠からイタリアまで、地中海沿岸を取り囲むように複数の太陽光発電所を配置するという壮大なプランを構想中です。欧州連合加盟国や地中海沿岸諸国で構成する『地中海連合』が、2020年までに2,000万kWの太陽光発電設備を整備する計画を検討しています。

 

商社の活動事例

  社名 事業案件
蝶理 ドイツ/太陽光発電事業
ドイツの太陽光発電のシステムインテグレーターであるEUROSOL社に出資。世界最大の市場で太陽光発電事業に参入
EUROSOL社は、太陽光発電所の設計から資材の調達、施工、発電事業の運営代行やメンテナンスなどを行うシステムインテグレーターで、資本提携初年度は20MWの供給契約を締結。(2011.4)
三井物産 スペイン・カタルーニャ地方/太陽光発電事業
スペインの太陽光発電事業会社を買収し、太陽光発電事業に参入
アイ・ピー・エム・イーグルLLP(三井物産30%、英インターナショナル・パワー社70%出資)を通じて、スペインのアバンティア社(電力・エンジニアリング会社)及び、ウルヘスネダ社(地元開発業者)他が保有する太陽光発電事業会社を買収(2008.7)。バルセロナの西北西約130kmのカタルーニャ地方に総発電量1,460KWpの太陽光発電設備を保有・運転中。約380世帯の年間消費量に相当する電力を供給。
三井物産 スペイン・コルドバ市/太陽熱発電事業
スペインの発電事業会社グズマンエネルヒア社の株式の30%を取得し、スペインにおける太陽熱発電事業に参入
スペイン南部のコルドバ市近郊で、設備容量約50MWの太陽熱発電所を建設し、スペインのフィードインタリフ制度に基づき約2万6,000世帯分の電力を販売する事業。

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