ハンガリーは中欧に広がるカルパチア盆地にある人口1,000万人の国です。地理的には北にカルパチア山脈、南にバルカン半島、東はウクライナ、西はオーストリアに接し、ドナウ川が国土を貫流しています。全体に平たんですが、西側は丘陵が広がり、東部はハンガリー大平原と呼ばれる平野となっています。こうした地勢より、西欧とロシア、バルカン、トルコを結ぶ交通の要所、いわば、「おへそ」に当たる国です。
ハンガリーは、第2次世界大戦では枢軸国側で参戦し、敗戦後、ソ連の影響下に入り、社会主義国となります。1956年のハンガリー動乱等の苦難の時代を経た後、89年の東欧民主化では先頭を切ってオーストリアとの国境の鉄条網を撤去して、大量に滞在していた東ドイツ人の西側出国を許し、ベルリンの壁崩壊の原因となりました。その後、民主政治、市場経済を取り入れ、90年代の体制変換の苦難を経つつも2004年にはEUに加盟し、西欧の一員としての立場を確立するとともに、着実に経済発展を進めています。
私は2000年にハンガリーのブダペストに赴任し、そろそろ滞在も8年になりますが、その間、見聞きしたハンガリーについて、以下簡単に紹介します。