国内同士、日本と外国、外国と外国の売買取引がスムーズに行われるように仲介・調整をするのが商社の中心的な役割です。
「モノ」や「サービス」を売りたい国と買いたい国を見つけて、商取引の仲を取り持ちます。最近ではインターネットを使って世界中の売りたい人と買いたい人を探せるような仕組みも作りました。
商売につながるかもしれない情報を世界中から集めるのも仕事です。
商社は世界中に支店や支社、関連会社や協力会社があるので、それらを通じて、世界各地の政治・経済・法律など、ありとあらゆる幅(はば)広い情報を集めてきます。
世界中から集めたたくさんの情報をいろいろな角度から分析(ぶんせき)し、それがどのような商売に生かせるか、どのようなビジネスにつながるのかということについて考えています。
そして、国内外のいろいろな事業にお金や人材を出して、知識や経験を生かして、その事業を育てて成功に導きます。
大型発電所の建設や石油ガスの開発などの大型プロジェクトを推進するためには、1社で対応するより、いろいろな会社が集まって、その得意分野をうまく組み合わせたほうが成功する可能性が高まります。その力が最大になるようにいろいろな会社をまとめてグループを作るのも商社の得意とする役割です。
また大型の事業を進める時などには、失敗の危険性(リスク)はつきものです。商社は長年の経験や知識、たくさんの情報力をフルに発揮(はっき)して、協力会社を見つけたりグループ会社を作ったりして、責任や損害を分け合ったり、保険を利用して万一失敗した時の損害を最小限におさえるための手立てをこうじます。完成された設備などから産出される製品の販売(はんばい)にも力を発揮(はっき)します。
売り手から買い手にどうやって製品を引き渡(わた)すのでしょうか?モノによってはそれはとても難しい問題です。商社は陸・海・空を問わず、商取引を進める上で最も適した物流手段を考えて提供しています。最近では、ITを活用した物流情報システムを作ったり、倉庫や流通センターなどの運営にも取り組んだりしています。また、アジアなど、物流が未発達な地域における物流事業開発にも力を入れています。
同時に銀行などの金融(きんゆう)機関とは異なる商社独自の金融機能を提供しています。例えば、まだ力や経験の少ない企業との取引には不安を持つ買い手に対して、商社が代わりに信頼性の保証をしたり、将来性のあるベンチャー企業に資金を提供し育成したりしています。また会社の買収・合併(がっぺい)にかかわる資金を提供するなど、時代の変化に合わせて新たな取り組みもしています。