資源の代表的な使いみち「発電」 電気をつくる発電には、いろいろな資源が使われているんだよ。 家庭や街、工場などで使う電気が発電所でつくられているのは、みんな知っているよね。発電をする方法にはいろいろな種類があって、それぞれ使われる資源が違っているんだ。 ※電気は、電化製品（掃除機やテレビ、冷蔵庫など）や機械・電車などの動力源をはじめ、熱源（ストーブやこたつ、IHクッキングヒーターなど）、光源（照明器具）などに、幅広く利用されていて、そのために使われる資源はとくに重要になっています。

代表的な発電方法と、それに使う資源

発電方法	使用する資源
水力発電	水
地熱発電	火山などの熱
火力発電	石油、LPガス、天然ガス、石炭
原子力発電	ウラン

このほかにも、太陽光発電、風力発電、潮力発電、燃料電池発電など、環境にやさしい新たな発電方法が使われ始めているよ。

日本の発電電力の割合の移り変わり

1950年代までは発電電力のほとんどを水力発電が担（にな）っていましたが、1960年代に入って急速に日本が経済発展するにつれて、必要な電力も急激に高まり、より発電能力が高い石油を使う火力発電が主役になりました。その後、オイルショックをさかいに、原子力発電や天然ガスによる火力発電などが使われるようになり、大半を石油にたよっていた発電のやり方が徐々に変化。現在ではさらに進んで、さまざまな地球にやさしい発電方法が使われるようになってきています。

発電される電力量で見ると、ピークの1973年度には73.2％だった石油等の割合は、 第一次オイルショックをきっかけに低下し、2000年代に入ると10％前後にまで下がりました。しかし、2011年の東日本大震災の影響でほとんどの原子力発電所が運転を停止したことから、石油等の割合は上昇する傾向にあります。わが国としては、これまで以上に、ひとつの発電用資源にかたよることなく、安定して手に入れやすい資源での発電をしていくことが大切になっています。

発電に使われるおもな資源について

石油

現在、世界でもっとも多く使われていて、暮らしや社会を支える主要な資源。発電用の燃料のほか熱源や動力源、プラスチックや繊維製品などの原料としても、幅広く利用されています。
石油を精製※して、ガソリン、灯油、軽油、重油、LPガス、さらに化学繊維や合成樹脂になるナフサなどがつくり出されます。
※油田から採掘（さいくつ）したままの状態の石油を「原油」とよび、精製の前の原油も、精製したあとにできるガソリンや灯油（以下に紹介）も含めて、「石油」とよばれています。

LPガス

原油を採掘するときや、石油を精製するときに得られるガス。天然ガスから分離して回収・液化しても作り出されます。身近ではプロパンガスとして家庭での燃料として使われたりしています。

天然ガス

天然ガスは世界各地で広くとれていて、豊富な資源といわれています。日本では、オイルショック以降、石油に代わるエネルギーとしての使用が進められ、約2/3が火力発電の燃料に、残りの約1/3は都市ガスの原料として利用されています。さらに、石油や石炭に比べて燃えるときに出る二酸化炭素（CO2）の量が少ないため、クリーン資源としても注目されています。
日本には低温で液化し特殊なタンカーで輸入されているため、液化天然ガス（LNG：Liquefied Natural Gas）とも呼ばれます。

石炭

使いみちの2本柱が、発電用の燃料と、鉄鋼をつくるときの燃料※。世界に広く分布していて豊富にあり、価格が安いという長所があるいっぽう、固体（石のようなもの）のため、運ぶのが不便であるという点や、地球温暖化の原因となる燃やすときに出る二酸化炭素などの量がほかの資源に比べて多いという難点もあります。
※鉄鋼をつくるときに、おもな原料である鉄鉱石に含まれている不純物 （ふじゅんぶつ）を取りのぞくために、鉄鉱石を2000℃という高温にする必要があり、このために石炭からつくられたコークスが混ぜられます。

ウラン

原子力発電では、ウランが核分裂するときに発生する熱エネルギーを利用して電気をつくります。天然のウランのうち、発電に利用できるのはウラン235という物質だけです。ただ天然ウランにはウラン235が0.7％しか含まれていません。このため、天然ウランの中のウラン235の割合を人工的に高める加工（ウラン濃縮）をして使用されます。原子力発電には、二酸化炭素を出さないため大気を汚染することがなく、発電効率も良いという利点があります。しかしいっぽうで、放射性物質を完全に閉じ込めておくための非常に高い安全管理技術が求められます。

※コーナーの最後で、クイズがでるのでチャレンジしてね。全問正解者にはお楽しみプレゼントもあるよ。