世界有数(ゆうすう)の貿易大国であり、たくさんの品目を輸出したり、輸入したりしている日本。このページでは、日本がどのような品目を貿易しているのか? そして、それはどこの国・地域との貿易なのか? 図で見てみましょう。
2021年の日本の輸出額がもっとも大きい品目は、半導体等製造装置、原動機などの「一般機械」です。主に中国、アメリカ、韓国(かんこく)に輸出しています。半導体デバイスなどを作るための半導体等製造装置は、中国にもっとも多く輸出しており、この他にはアジアや欧米を中心に輸出しています。自動車のエンジンに代表される原動機は、1位、2位、3位が、アメリカ、中国、タイの順となっています。
次に大きい品目は、自動車、自動車の部分品などの「輸送用機器」です。自動車は、アメリカへの輸出が一番多いのですが、中国、オーストラリア、カナダ、アラブ首長国連邦など、アジアや中東、EUへと全世界に拡がっています。自動車を組み立てるために使う部品類は、アメリカへの輸出が一番多く、そのつぎに中国、タイとなっています。これは、日系企業による、自動車の現地生産が増えていることによります。
半導体(はんどうたい)等電子部品(IC等)などの「電気機器」は、アメリカとドイツ以外はほとんどがアジア向けです。ICはアジア向けが多い理由は、パソコンやゲーム機器以外に自動車や冷蔵庫などいろいろな製品に幅広(はばひろ)く使われるようになり、それら製品の組み立てをアジア各国・地域に製造拠点(せいぞうきょてん)を移した日系企業の工場などが請(う)け負(お)っているためです。
プラスチックなどの「化学製品」も、アジア向けがほとんどです。これもICや自動車部品の理由と同じように、日本から輸出されたプラスチックなどがアジアに立地(りっち)する日系企業の工場で製品に組み立てられて再輸出される、あるいは組み立てられた国々の中で販売されているからです。
鉄鋼(てっこう)などの「原料別製品」は、主に中国、アメリカに輸出しています。鉄鋼(てっこう)は中国、韓国(かんこく)、タイへの輸出が多く、ビルや工場などの建設や自動車で使われています。
順位 | 2000年 輸出総額 51兆6,542億円 |
2010年 輸出総額 67兆3,996億円 |
2020年 輸出総額 68兆4,005億円 |
2021年 輸出総額 83兆914億円 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 自動車 | 13.4% | 自動車 | 13.6% | 自動車 | 14.0% | 自動車 | 12.9% |
2 | 半導体等電子部品 | 8.9% | 半導体等電子部品 | 6.2% | 半導体等電子部品 | 6.0% | 半導体等電子部品 | 5.9% |
3 | 事務用機器 | 6.0% | 鉄鋼(てっこう) | 5.5% | 自動車の部分品 | 4.3% | 鉄鋼(てっこう) | 4.6% |
4 | 科学光学機器 | 5.1% | 自動車の部分品 | 4.6% | 鉄鋼(てっこう) | 3.8% | 自動車の部分品 | 4.3% |
5 | 自動車の部分品 | 3.6% | プラスチック | 3.5% | 半導体等製造装置 | 3.7% | 半導体等製造装置 | 4.0% |
6 | 原動機 | 3.2% | 原動機 | 3.5% | プラスチック | 3.5% | プラスチック | 3.6% |
7 | 鉄鋼(てっこう) | 3.1% | 船舶(せんぱく) | 3.3% | 原動機 | 3.2% | 原動機 | 3.0% |
8 | 映像機器 | 2.7% | 科学光学機器 | 3.0% | 科学光学機器 | 2.9% | 科学光学機器 | 2.8% |
9 | 有機化合物 | 2.3% | 有機化合物 | 2.8% | 電気回路等の機器 | 2.5% | 電気回路等の機器 | 2.5% |
10 | プラスチック | 2.0% | 電気回路等の機器 | 2.6% | 非鉄金属 | 2.3% | 非鉄金属 | 2.5% |
2021年の日本の輸入のもっとも大きい品目は、原油および粗油、LNG(液化天然ガス)などの「鉱物性燃料」です。主に発電や自動車などの燃料に使われており、エネルギー資源のとぼしい日本は、海外からの輸入に頼っています。自動車、船舶(せんぱく)、飛行機の燃料や工場の動力用燃料などになる原油は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など中東から多くを輸入しています。発電の燃料や都市ガスなどの原料となるLNG(液化天然ガス)の輸入は、オーストラリア、マレーシア、アメリカ、カタールなどからが多いことがわかります。
次に大きい品目は、通信機、半導体等電子部品などの「電気機器」です。海外の日系企業の工場で組み立てられた製品を逆輸入し、また新興国の生産技術向上によって海外製品を多く輸入しています。スマートフォンなどの通信機は、ほとんど中国からの輸入です。半導体等電子部品は、全体の約半分を台湾(たいわん)から輸入しています。
この他にも、工業用製品の原料としてとても重要な、銅や鉛(なまり)、アルミニウムなどの素材である非鉄金属鉱は、チリ、オーストラリア、インドネシア、ペルー、カナダなどから輸入しています。
また食料は、食料自給率が低いことから輸入に頼っている品目が多く、動物の飼料や油脂などに使われるとうもろこしは大部分がアメリカ、その他にはブラジルから。小麦はアメリカを中心に、カナダ、オーストラリアの3カ国からほぼ100%輸入しています。大豆も大部分がアメリカ、その他にはブラジル、カナダから輸入しています。
衣類は、約6割が中国から輸入されていて、一流ブランド品の洋服も、中国で作られている品目が非常に多いです。皆さんが着たり履(は)いたりしている品目の多くが輸入品であり、タグ(裏側についている小さな添(そ)え書き)に、〝メイド・イン・チャイナ(Made in China)〟などと書かれています。
順位 | 2000年 輸入総額 40兆9,384億円 |
2010年 輸入総額 60兆7,650億円 |
2020年 輸入総額 67兆8,371億円 |
2021年 輸入総額 84兆7,607億円 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 原油および粗油 | 11.8% | 原油および粗油 | 15.5% | 原油および粗油 | 6.8% | 原油および粗油 | 8.2% |
2 | 事務用機器 | 7.1% | LNG(液化天然ガス) | 5.7% | LNG(液化天然ガス) | 4.7% | LNG(液化天然ガス) | 5.0% |
3 | 半導体等電子部品 | 5.2% | 衣類および同付属品 | 3.8% | 医薬品 | 4.7% | 医薬品 | 4.9% |
4 | 衣類および同付属品 | 5.2% | 半導体等電子部品 | 3.5% | 通信機 | 4.2% | 半導体等電子部品 | 4.0% |
5 | 魚介類 | 4.0% | 石炭 | 3.5% | 衣類および同付属品 | 4.0% | 通信機 | 3.9% |
6 | LNG(液化天然ガス) | 3.4% | 音響(おんきょう)映像機器 | 2.7% | 半導体等電子部品 | 3.7% | 非鉄金属 | 3.3% |
7 | 科学光学機器 | 2.3% | 非鉄金属 | 2.6% | 電算機類 (含周辺機器) |
3.5% | 衣類および同付属品 | 3.3% |
8 | 石油製品 | 2.3% | 石油製品 | 2.6% | 非鉄金属 | 2.5% | 石炭 | 3.3% |
9 | 肉類 | 2.3% | 電算機類 (含周辺機器) |
2.6% | 科学光学機器 | 2.5% | 電算機類 (含周辺機器) |
2.8% |
10 | 音響(おんきょう)映像機器 | 2.1% | 医薬品 | 2.5% | 石炭 | 2.5% | 石油製品 | 2.5% |
日本の貿易で、輸出額が多いのは、半導体等製造装置などの「一般機械」、自動車などの「輸送用機器」や半導体等電子部品などの「電気機器」、科学光学機器などの「その他」、プラスチックなどの「化学製品」、鉄鋼(てっこう)などの「原料別製品」です。
輸入額が多いのは、原油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの「鉱物性燃料」、半導体等電子部品などの「電気機器」、衣類などの「その他」品目、医薬品などの「化学製品」、鉄鋼(てっこう)などの「原料別製品」です。
それぞれのグループ(分類)には、代表的なものとしてつぎのような品目が集計の対象になっています。
2021年の円レート*は年ベースで4年ぶりに円安となり、通年の変動幅は103円から115円のレンジで推移しました。2021年の輸出は、前年比21.5%増の83.1兆円となり、3年ぶりに増加しました。商品別では、鉄鋼(てっこう)、自動車、半導体等製造装置などが増加しました。
*たとえば円高とは、1ドル100円だった為替(かわせ)レート(ドルと円との交換比率)が、円通貨の価値が上がり90円になることをいいます。この場合、日本から50,000円の値段の品目を輸出していたとすると、これまではドルで買う(輸入する)国は500ドルで買えていたところが、555ドルになり、高い価格で買わなければならなくなります。そうなると、日本からの輸入品を買っていた国の人たちは、値段が高くなったことで買うことを控える、あるいは他国からの輸入品を買うことになり、日本からの輸入品が売れなくなり、日本からの輸出が減ってしまいます。
2021年の輸入は、前年比24.6%増の84.8兆円となり、3年ぶりに増加しました。商品別では、原油価格の下落を背景に原油および粗油、非鉄金属、LNG(液化天然ガス)などが減少しました。