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日本貿易の現状と課題

  • 1. 日本の貿易の特徴
  • 2. 日本の主な輸出入品
  • 3. 日本の主な貿易相手
  • 4. 日本貿易の課題

4. 日本貿易の課題

今後、日本の貿易を推進するうえで取り組まなくてはならない課題には、「産業の空洞化(くうどうか)」、「食料自給率」、「貿易摩擦(まさつ)」、「経済連携協定」、「資源・エネルギーと地球環境」などがあり、商社はこれらの課題の解決に積極的に取り組んでいます。ここでは、それぞれの問題がどのようなことなのかを知っておきましょう。

もくじ
  • 産業の空洞化
  • 食料自給率
  • 貿易摩擦
  • 経済連携協定−FTA/EPA/TPP
  • 資源・エネルギーと地球環境問題

産業の空洞化

これまで日本経済を支えてきた製造業が、人件費や材料費などのコストが安く、また技術力を確保できるアジアの国・地域を中心に海外へ次々と工場を建てて、現地で生産を始めました。この理由は、急速な円高により製品販売の国際価格競争が激しくなる中、各企業が製造にかかるコストを低く抑(おさ)えなければならなくなったこと、貿易摩擦(まさつ)で輸出を抑(おさ)えざるを得なくなってしまったからにほかなりません。産業の空洞化(くうどうか)とは、国内産業が海外へ移転することにより、国内の産業が空洞化すること(中身がなくなってしまうこと)をいいます。産業の海外進出にともない日本国内の製造工場などが減ってしまい、すなわち働く先も少なくなります。そして、日本のモノづくりそのものが先細りとなり、これまで培(つちか)ってきた高い技術が維持できない恐れがあります。
この対策としては、さらなる先端技術(せんたんぎじゅつ)の開発や新しい産業を興(おこ)すことで、輸出できるモノづくりや国内の需要(じゅよう)を拡大させていくことが必要といわれています。

海外生産比率の推移(製造業)

【図1】日本の直接輸出額推移(企業規模別)

備考:モノの輸出額。卸小売業を除く企業活動基本調査の調査対象全業種(ただし、2002年〜2014年の間に追加された業種を除く)。従業員数50人以上の企業のみ(大企業は、ここでは資本金100億円以上とした)。

出典:法人企業統計(財務省)、海外事業活動基本調査(経済産業省)

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日本の食料自給率

私たちが食べるモノのうち、国内で生産されているモノでまかなえている割合を食料自給率といいます。日本の食料自給率は熱量換算で約37%であり、日本でまかなえるのは半分にも満たないのが実情です。世界の主要国と比べてもその比率がいかに低いかがわかります。このように日本では多くの食料を輸入に頼っているため、つねに安全・安心な食料を安定して確保することが求められています。
そのため、商社では、安全・安心な食料を安定的に確保するために、海外の農業生産者に資金援助や技術提供、物流支援などするとともに、自ら現地で農業生産に取り組むなどしています。国内でも経営、販売、物流などの面で農業生産者の育成や支援を行うほか、近年では、日本の農産物の輸出を支援しながら、直接農産物の生産にも取り組みはじめる商社もでてきました。

世界主要国の食料自給率

【図2】世界主要国の食料自給率の移り変わり

備考:農林水産省「食料需給表」、FAO “Food Balance Sheets”などを基に農林水産省で試算(アルコール類等は含まない)
※ 数値は暦年(日本のみ年度)。スイス(カロリーベース)およびイギリス(生産額ベース)については、各政府の公表値を掲載。
※ 畜産物および加工品については、輸入飼料および輸入原料を考慮して計算。
出典:農林水産省

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貿易摩擦

貿易摩擦(まさつ)とは、輸出入を行う国と国の間で輸出と輸入の不均衡(ふきんこう)によって起こるあつれき問題(トラブル)をいいます。たとえば、輸入しようとする品目が国内でも生産されている場合、輸入品が国内品より安い価格で売られてしまうと国内品が売れなくなってしまい生産者が困ってしまいます。そこで、国内の産業を守るために、安い輸入品が入って来過ぎないように関税を高くすることなどで輸入量を調整(制限)することがありますが、これを保護主義的措置(そち)といいます。そのときに、この対応について輸出する相手国から不公平であるとの不満が出てきます。このようなことが貿易摩擦(まさつ)の原因となります。
日本では主要な貿易相手国であるアメリカとの間で、牛肉・オレンジ、繊維(せんい)、鉄鋼(てっこう)、カラーテレビ、自動車、半導体などに関する貿易摩擦(まさつ)が生じ、そのたびに両国の間で交渉・調整をして解決してきました。
最近では、資源国や農業国との貿易において、レアメタル(リチウム、ウラン、プラチナなどの希少(きしょう)金属)などの鉱物資源に対する輸出制限の問題(必要な資源が日本に輸入できない)や、価格の安い農作物が日本にどんどん入ってきてしまうことで、日本の国内農家で作った作物が売れなくなってしまうなどの問題も出てきています。
これまで、貿易摩擦(まさつ)は当事者間での解決が図(はか)られてきましたが、当事者間では解決の難しい問題が多くなり、公的な機関であるWTO(世界貿易機関)による調停(ちょうてい)や、民間の自主規制などにより、解決を図(はか)る動きが多くなってきています。
また一方、最近では各国・地域間の自由貿易協定(FTA)が結ばれ始め、2国間あるいは多国間で貿易摩擦(まさつ)が起こらないような形で相手国と自由に貿易ができる取り組みが行われています。

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経済連携協定−FTA/EPA/TPP

日本は戦後、世界との貿易により驚異的(きょういてき)な高度経済成長を遂げ、貿易立国と呼ばれてきました。いま私たちの生活は貿易取引によって支えられていますが、この貿易取引のめぐみを受けられるのは、"世界の国・地域と円滑に自由な貿易取引ができる"ことが前提となっています。
その貿易自由化の促進を図(はか)るためのルールを決めている国際機関がWTOです。しかし多くの国が参加するWTOでは、経済発展に対応した新たなルール作りが進まず、近年では特定の国・地域間での合意によってルールを決める自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結(ていけつ)する動きが活発になっています。日本でも、2002年からFTA、EPAの交渉が積極的に進められています。
そして、2010年にアメリカが、環太平洋地域での経済連携協定の交渉を推進しはじめました。これが環太平洋パートナーシップ協定(TPP)です。基本的にはこれまでのEPAと同じように、国境を越えた円滑な経済・貿易活動のために必要なルールを決めるものですが、対象となる分野が多く、これまでよりも高いレベルの自由化が目標とされていました。日本も国内の議論を経てTPPに参加しましたが、一方でアメリカは2017年に就任したトランプ大統領(当時)がTPPからの離脱を決定したため、結局TPPはアメリカを除く11カ国の参加で2018年12月30日に発効しました。
この他にも、日本は、日EU経済連携協定(2019年2月1日発効)、日米貿易協定・日米デジタル貿易協定(2020年1月1日発効)、日英包括的(ほうかつてき)経済連携協定(2021年1月1日発効)などの協定を締結(ていけつ)しています。2022年1月1日にはASEAN10カ国、中国、韓国(かんこく)、オーストラリア、ニュージーランドが参加する東アジア地域包括的(ほうかつてき)経済連携(RCEP)協定が発効しました。
貿易の自由化の流れを促進(そくしん)し、次世代のルール作りに参加することは、貿易立国である日本に広く利益をもたらすものとなることでしょう。

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資源・エネルギーと地球環境問題

資源(鉄鉱石や銅をはじめとした鉱石類など)・エネルギー(石油、石炭、原子力、LNG(液化天然ガス))のほとんどを海外からの輸入に依存(いぞん)している日本。近年、中国、インドなど新興国(しんこうこく)の経済成長とともに、それぞれの国々が工業製品の原料となる資源やエネルギーを確保しようとする動きが活発となり、日本がこれまで通りの必要な量を同じ価格で確保することは、非常に難しくなってきました。
また、これらの資源・エネルギーの使用の増加は、地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素などの排出量(はいしゅつりょう)が増えることにつながり、日本だけでなく、世界全体で取り組むべき問題となっています。そこで2015年12月、国連気候変動枠組(わくぐみ)条約第21回締約国(ていやくこく)会議(COP21)がフランスで開かれ、2020年以降の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、フロンなど)削減(さくげん)のためのルールを定めた「パリ協定」が採択(さいたく)されました。この会議には、主要排出国(はいしゅつこく)を含む多くの国が参加し、このパリ協定の下、各国は温室効果ガスの排出削減(はいしゅつさくげん)目標を定めました。日本は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しています。
地球環境問題への対応のために、資源やエネルギーの確保と同時に、省エネルギーや省資源化の推進、また新エネルギー(太陽光発電、風力発電など)やリサイクルなどの新技術の開発が求められていて、商社はこれらの課題解決に積極的に取り組んでいます。

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