社会のできごと
- 1889年
- 大日本帝国憲法(だいにっぽんていこくけんぽう)発布(明治憲法)
- ドイツの憲法を手本として作られた。主権(しゅけん)は天皇(てんのう)にあることが、今の憲法との最大の違い。国民(こくみん)は「臣民(しんみん)」とよばれた
- 1894~1895年
- 日清戦争がおこる
- 朝鮮(ちょうせん)をめぐっておこった日本と清(しん)国(中国)との戦争。日本軍が勝ったことで、欧米との通商条約改正で領事裁判権(りょうじさいばんけん)の撤廃(てっぱい)、関税率の引き上げ、相互対等(そうごたいとう)の最恵国待遇(さいけいこくたいぐう)の回復につながった
- 1901年
- 八幡製鉄所の操業開始
- 日本で官営(かんえい)の製鉄所(せいてつじょ)としてはじめてつくられた近代(きんだい)的製鉄所(てきせいてつじょ)。この建設費は、日清戦争で得た賠償金(ばいしょうきん)があてられた
- 1904~1905年
- 日露戦争がおこる
- イギリスと日英同盟(にちえいどうめい)をむすんで帝政ロシアと満州・朝鮮の制覇を争った戦争。日本はこの戦争に勝って、樺太(からふと)の南半分を領土(りょうど)とできたが、賠償金は得られなかった
- 1911年
- 日米通商航海条約改正
- 江戸時代から続いた不平等条約がようやく改正され、関税自主権(かんぜいじしゅけん)が完全回復した
- 1914年
- 第一次世界大戦がおこる
- 同盟国のドイツ・オーストリアと三国協商のイギリス・フランス・ロシアを中心とする連合国との対立が原因となって起こった世界的規模の戦争。日本は日英同盟によって連合国側に立ち参戦(さんせん)した。日本は物資の供給で連合国側を支援したことから、戦争特需で好景気となり、工業生産が大幅に拡大(かくだい)した
- 1918年
- 米騒動(こめそうどう)-全国的な大民衆暴動(ぼうどう)
- 日本軍がシベリア出兵(しゅっぺい)をすることを見込(みこ)んで、商人が米の売りおしみや買いしめを行ったため、コメの値段が高騰(こうとう)。たえかねた富山(とやま)県の漁村の人々が安売りを求める運動を起こし、たちまちこの民衆運動が全国に広がる。その結果、寺内軍人内閣が倒れる
明治時代中期から大正時代の商社は、欧米列強の仲間入りをめざして重工業を発展させようとした明治政府のために働いたんだ。大正時代におきた第1次世界大戦のときには、日本政府の命を受けて連合国のために必要なモノをヨーロッパに送ったんだよ。
明治中期~大正中期
重工業の発達を助けた商社
明治中期頃になると、日本に近代工業が育ってきた。明治政府はそれをもっとさかんにして、国の力を強くし、欧米列強の仲間入りをしようとしたんだ。そのために、軍事工業を中心とする重工業を発達させることに努めた。ところで、重工業には鉄が要るよね。その鉄を作るために必要な鉄鉱石(てっこうせき)や石炭は、日本ではあんまり多く採れない。そこで商社が、明治政府を助けて、外国にたくさんある鉄鉱石や石炭を輸入したんだ。それが、日本の重工業の発達を助けることにもなったんだ。
第一次世界大戦と商社
第一次世界大戦で、日本は連合国側(イギリス、フランス、ロシア、イタリア、アメリカ合衆国)を支援したのは知ってるかな? 戦争となれば、戦うための軍備が必要になる。だけど、連合国ではそれが足りなくて困っていた。そこで日本が、国内で作った軍需品を連合国に供給したんだ。商社は日本政府の命を受けて、軍需品をヨーロッパまで送る手伝いをした。
明治時代 詳しい解説 1872~1894年ごろ
近代工業を育てたいが、そのためには機械が必要だ
富岡製糸場
明治政府は、日本を豊かな国にするために、近代工業を育成しようとした。手作業で糸を作る工場制手工業(マニュファクチュア)が江戸時代から続いていたけれど、明治政府は、そこに機械を取り入れて、もっと効率よく糸を生産し、外国にも輸出をしようとしたんだ。そして、糸を作るための製糸(せいし)機械や紡績(ぼうせき)機械をそなえた工場を、いくつも建てた。その中でも富岡製糸場は有名だし、教科書にものっているよね。ところで、工場に必要な製糸機械や紡績機械だけど、その頃の日本には、そんなものはなかったんだよ。つまり、工場を建てることができても、中に入れる機械がない。だから、外国から機械をなんとかして手に入れなきゃいけなかったんだ。
外国から機械を買い入れて、近代工業の発達を助けた商社
紡績機械
明治政府が建てた製糸工場や紡績工場に、必要な近代的機械を用意したのは商社なんだ。商社は外国から製糸機械や紡績機械を買って、それを工場に運び入れた。その機械のおかげで、工場は生糸や綿糸をどんどん生産できるようになり、日本の生糸や綿糸の生産量がすごく増えたんだ。また、この頃は水力や蒸汽(じょうき)で機械を動かしていたんだけれど、やがて電力で動く機械にかわった。そうすると、今度は、機械を動かすために電気が必要になるね。そこでまた商社の出番だ。商社は、発電所に必要な発電設備を、外国から輸入したんだ。こうした商社の仕事のおかげで、生糸や綿糸の生産量はますます増えた。商社は、明治政府に協力して、日本の近代工業の発展を助けたと言えるんだ。
出来上がった糸や織物を輸出して、日本を豊かにした商社
こんなふうにして生産量が増えた生糸や綿糸、織物などを、輸出するために、商社が相手国を探し、徐々に貿易先を増やしていったんだ。その結果、外国のお金が日本に多く入って来て、日本はますます豊かな国になったんだよ。
明治時代 詳しい解説 1894~1911年ごろ
日本も欧米列強の仲間入りをしなければ
この頃の日本は、江戸時代からくらべると、だいぶ進んだ国になっていた。だけど、欧米の国に比べるとまだまだ大きく遅れていたんだ。欧米の国の方が経済力も、軍事力も大きかった。とくにイギリスやフランス、オランダ、アメリカなどは強かったから、「列強」と呼ばれていた。ロシアやドイツも列強の仲間に入っていた。日本だって負けちゃいられない、と明治政府は思ったんだね。そこで、日本をもっと強くして、欧米列強の仲間入りをしようとして、ある産業に力を入れたんだ。
重工業には鉄がいるけど日本には鉄がない
八幡製鉄所
欧米列強の仲間入りをしようとした明治政府が力を入れたのは、軍事工業を中心とした重工業だったんだ。軍需品をたくさん作って、軍備を増強しようとしたんだ。ところで、軍需品の多くは何でできていると思う? そのとおり、鉄、でできているんだ。だから明治政府は軍備を増やすために、まず材料になる鉄をつくろうとした。そのために、日清戦争で得た賠償金を使って、あの、教科書にものっている八幡製鉄所を建てたんだよ。じゃあ、もうひとつ質問するよ。製鉄所では、何から鉄を作るか知っているかい? ちょっとむずかしいかな。鉄は、鉄鉱石という石から作るんだ。鉄鉱石を石炭とまぜて高温の火でとかすと、中から鉄分がとけ出してくる。それを冷やしてかためたものが鉄なんだ。つまり、鉄を作るには、鉄鉱石がどうしても必要なのさ。だけど、鉄鉱石は日本ではほんの少ししか採れなかったんだ。
鉄鉱石を外国から輸入して、鉄をつくれるようにした商社
鉄鉱石がないと鉄がつくれない。そうなると、明治政府が望んでいたような欧米列強の仲間入りもできない。そこでどうしたかと言うとね、外国にある鉄鉱石を日本に運んだんだ。つまり、輸入したんだね。中国やインドでは鉄鉱石がたくさん採れたから、日本の商社がそれを買って、日本の製鉄所に運んだ。だから、製鉄所では鉄をどんどん作ることができたというわけだ。
日露戦争その鉄から機械や兵器ができ、日本は強くなり、政府が考えていたように日露戦争にも勝つことができた。そして、欧米列強にまけない力のある国として、世界からみとめられるようになった。そのうらには、商社の働きがあったんだね。
大正時代 詳しい解説 1914~1918年ごろ
第一次世界大戦時、ヨーロッパで軍需品が足りなくなった
第一次世界大戦
1914年に、第一次世界大戦がはじまった。第一次世界大戦というのは、ヨーロッパの国々が2つに分かれて戦った戦争なんだ。イギリス、フランス、ロシア、イタリアが連合国としてひとつにまとまり、ドイツとオーストリアが同盟国としてまとまった。そして、この2つがヨーロッパで戦争をしたんだ。その時、日本は連合国の味方をした。ところで、戦争になったら、軍需品がたくさん必要になるよね。日本が味方した連合国でも、たくさんの軍需品が必要になった。だけど、自分の国で戦争をしながら、軍需品も作るというのはむずかしいことだった。それで連合国は味方の日本に頼ったんだ。
軍需品を送って連合国を助ける
連合国の注文をうけて、日本は軍需品を連合国に供給した。この時に活躍したのが、日本の商社だったんだよ。日本政府の命を受けて、商社は、日本メーカーで作られた軍需品を連合国にどんどん輸出したんだ。軍需品ばかりでなく、生活に必要な日用品も輸出した。第一次世界大戦中に、日本の商社は、ヨーロッパに足りないものを送って連合国を助けたと言えるんだ。
景気がよくなった。そのうらには商社の働きがあった
第一次世界大戦の頃の日本では、工業がいちじるしく発展したんだ。連合国へ軍需品を供給するために軍事工業がさかんになったのはもちろんだけど、それ以外にも、製糸業や、化学・金属・機械・造船などの重工業がものすごく発達した。つまり、そういうものを大量に生産できるようになったんだ。生産したものは、日本の商社が、外国にどんどん売った。輸出をしたわけだね。たくさんのものを輸出できたので、輸入より輸出の方が多くなった。つまり、外国から買うより、外国に売る方が増えたんだ。すると、どうなると思う? 売る方が多いわけだから、もうかる! もうかれば、日本にお金がたまって、景気がよくなる。(どうして景気がよくなるかは、ちょっとむずかしいからここでは説明しないよ。中学や高校になったら勉強しようね。)そして、日本の経済はますます発展したんだ。その発展のうらには、輸出でがんばった商社の働きがあったんだよ。