G20大阪サミットと米中首脳会談の結果についての中村会長のコメント

会長コメント

2019年6月29日

日本で初めての開催となったG20大阪サミットが無事終了した。首脳宣言の取りまとめにあたった日本政府関係者、並びに安全確保等も含め、本会議の成功に尽力された多くの方々に、心から敬意を表したい。

最大の注目点であった貿易摩擦の問題に関して、首脳宣言に「自由で公平かつ無差別で、透明性があり、予測可能で安定的な貿易及び投資環境を実現し開かれた市場を維持するために努力する」と明記されたことは、貿易摩擦激化に歯止めをかけ、摩擦緩和に向けた関係国間の交渉を促す重要な成果であったと考える。また同時に開催された米中首脳会談において、貿易交渉の再開が合意され、米国は関税の上乗せを見送ることを表明した。まさに上記首脳宣言の方向性に沿うものであり、大変喜ばしいことである。

この他、当会としては、G20大阪サミットにおいて、貿易・投資に関連した以下3点の重要な合意がなされたことに注目している。これらが早急に具体的なルールとなるよう、引き続き関係者の努力、とりわけ日本政府のイニシアチブに期待したい。

(1)データ流通の国際ルール

データ流通の国際ルール作りについて、その必要性と緊急性が理解され、多国間で議論する枠組みとして「大阪トラック」を創設することを宣言した。信頼ある自由なデータ流通確保に向けた国際的ルール作りは、特に緊急性が高い。公正な自由貿易を維持し、発展させるためにも必要不可欠である。

(2)WTO改革

グローバル化、デジタル化が一層進む中、自由貿易の維持、発展にはWTOがその機能を十分に発揮することが大前提となる。紛争処理などの面で必ずしも機能を果たせていないWTOの改革は急務であり、米国も含めてWTO改革の推進で一致したことで、改革実施にはずみがつくことを、切に願うものである。

(3)インフラ投資や債務問題

インフラは経済成長と繁栄の原動力となる。しかし、巨額の資金が必要とされるため、債務の持続可能性と透明性確保は世界経済、とりわけ新興国の持続可能な成長に大変重要である。質の高いインフラ開発は、我が国の官民が協力して世界の経済発展に貢献していく上での戦略的分野でもあり、その重要性が合意された事は、大変意義深い。

以上