2020年11月18日に開催された会長定例記者会見要旨

定例記者会見

2020年11月18日

本日は、11月15日に署名されたRCEPと、米国大統領選について申し上げる。

RCEP調印は貿易業界にとって大変喜ばしく、長年にわたって交渉を進めてこられた日本政府および関係各位の努力に敬意を表する。

RCEPは、アジア地域の貿易・投資の活性化や、サプライチェーンの強靭化・効率化に資する他、日本にとっては中国・韓国と初めて締結した貿易協定という大きな意義がある。日本政府には、協定の早期発効と共に、参加が望まれるインドに対する働きかけを期待する。

次に米国大統領選について、先ずは、当選が確実になったジョー・バイデン氏およびカマラ・ハリス氏にお祝いを申し上げる。

米国の政治体制が早く確定することを強く望むと共に、バイデン新大統領と菅首相が早期に信頼関係を構築し、日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟をより強固なものにして頂くことを期待する。

新大統領には外交の舵を国際協調路線に戻し、また環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰も視野に入れて頂きたい。

またバイデン氏が公約されている通り、パリ協定への復帰やクリーンエネルギー分野への投資が行われると、世界的な低・脱炭素化の流れが大幅に加速すると見ている。商社業界もこの流れをビジネスチャンスと捉え、事業を展開することが必要と考える。

最後に、日本貿易会として12月の税制改正大綱決定に向け、9月末に「令和3年度 税制改正要望」を政府関係者や関係省庁等へ提出したことを紹介させて頂く。

質疑応答

(記者) 菅首相が掲げた2050年カーボンニュートラルの目標について

(会長) 2050年にカーボンニュートラルを目指すとの、国の考え方・方向性が示されたものと理解している。

2050年までの一里塚として、2030年くらいを睨んだ近未来の姿も政府に提示して頂きたい。また政府には、2018年に定められた現エネルギー基本計画の見直しに関する議論を進めて頂いているが、現状に即した形で早期に確立頂く必要があると考える。

商社としては政府の方針や計画に沿った形で各社がカーボンニュートラルを目指して取り組んでいくことになる。

(記者) 中国が12月から施行する輸出管理法について

(会長) 貿易業界のみならず、経済界として大変憂慮している。

今後発表される下位規則等を注視し、ビジネスへの影響があるのか等を検討しなければいけない。

日本貿易会を含む日米欧三極の主要産業団体は、2017年の草案公表時から改善要望等をまとめた共同意見書を3度提出し、問題意識の共有を行っているが、政府とも連携の上、中国政府への働きかけを続けていく必要がある。

(記者) バイデン政権について

(会長) 今後は、首相のみならず、日本政府とバイデン政権とのコミュニケーションルートが多様化し、情報量が増えることで、政策の予見可能性が高まると考える。

バイデン政権においては、米国内での分断が解消しない状況下、まずは国内政策や国内経済の維持を第一に実行するだろう。また、対中強行姿勢は今や超党派の流れであり、今後も継続すると思われるが、環境分野等で協調する議論がなされていくだろう。

以上