2021年2月17日に開催された会長定例記者会見要旨

定例記者会見

2021年2月17日

日本各地で地震、暴風雪などの自然災害が相次いでおり、被災された方々にお見舞い申し上げる。また、その中で医療、行政、交通サービスなどを通じて日常生活を支えていただいている方々に深く感謝申し上げる。

本日は、コロナ関連、ミャンマー情勢、WTO新事務局長選出、米国バイデン新政権についてお話しする。

新型コロナウイルスの新規感染者数は足元では減少傾向にあるが、依然として医療提供体制は逼迫している。引き続き、政府・国民が一体となり、気を一段と引き締めて感染拡大防止に取り組む必要がある。当会も、会員企業と一丸となり、協力していく所存である。

次にミャンマー情勢について。ミャンマーはこの10年間で民主化が進み、アジア最後のフロンティアとして世界中の企業が注目し、商社業界も同地で多くのビジネスを進めてきた。それゆえ、民主化に逆行する動きが起こったことは残念でならない。
現在、現地に日系企業は430社超、登録されている邦人は約3,500人おり、日本の経済界として、邦人の安全確保と事業の継続性・将来性等について憂慮している。当会としても、関係者と連携を取りながら適切な対応を講じたい。

続いて、WTO新事務局長について。ナイジェリアのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ元財務相が選出されたことを歓迎する。

164ヵ国・地域が加盟し、自由で公平な多角的通商体制を推進するWTOの役割は非常に大きく、貿易紛争解決制度の機能回復や、デジタル分野を含めた国際的なルール作りなど、山積する諸課題に取り組むことを期待する。

次に、米国バイデン新政権について。就任直後から50本超の大統領令を発動し、その多くがトランプ政権からの方針転換を明確に示すものとなっている。

1.9兆ドルの追加経済対策を打ち出すなど、コロナで傷ついた経済の回復にも強い姿勢で臨んでいる。また、パリ協定への復帰やWHO脱退の撤回など、国際協調路線に転換し、同盟関係を重視する姿勢を示していることを評価する。

環境分野については、米欧中を中心に、グローバルな低・脱炭素化の流れがさらに加速するのは間違いないであろう。商社業界としても、エネルギーの安定供給を担いつつ、気候変動問題の解決に貢献していかなくてはならない。

最後に、日本貿易会は半世紀にわたり拠点としてきた浜松町を離れ、霞が関の新オフィスで活動を開始した。新オフィスは、コロナ感染対策はもちろんのこと、抗菌処理がなされ、広いスペースを確保できる会議室もあり、会員企業が安心して、効率的にコミュニケーションを図ることができると考えている。タイミングを見計らい、足をお運びいただければ幸いである。

質疑応答

(記者) ワクチン接種が進むことによる期待や課題について

(会長) コロナの感染予防、抑止に大きな効果を表すと期待しており、また、今年後半からの経済活動の更なる成長促進にも資するものと考えている。

(記者) 日本政府でも議論が始まったカーボンプライシングの導入について

(会長) カーボンプライシングは、将来カーボンニュートラルを達成するための手段の一つとして提起されていると了解しているが、経済成長をなるべく阻害しないようにすることが課題である。欧州等では国境炭素税の導入などさまざまな意見も出ており、政府方針を踏まえて検討していきたい。

(記者) 13日の東北地方を中心とした地震によるサプライチェーンへの影響について

(会長) 余震の可能性も有ると言われており、警戒の最中ではあるが、交通・物流網が早く復旧しており、また海外からの調達も滞っていないことから、サプライチェーンへの影響は、最小限に食い止めることが出来るとみている。

(記者) 東京五輪・パラリンピック組織委員会のトップ人選を巡る混乱について

(会長) 日本貿易会の役割の一つである国際化の推進という観点からは、なるべく早く解決し平常に戻してもらいたい。

(記者) ミャンマーにおける企業活動の現状と解決策について

(会長) デモの頻発している地域では出勤できないところもあり、流通が少し滞り始めているが、日系企業や邦人の安全は確保されていると現地から聞いている。日系企業・邦人の安全確保と、経済活動の継続に向け、日本貿易会としても、政府と連携をして対応していく。

(記者) 日経平均株価が3万円を超えていることへの評価について

(会長) 株価についての論評は難しいが、一言でいうと実感なき高値ということである。コロナ禍という状況を考えれば、企業業績が評価され、それに伴い株価が上がっているような局面ではない。今後、企業業績が着実に改善していくことが期待される。

以上