2021年5月19日に開催された会長定例記者会見要旨

定例記者会見

2021年5月19日

本日は、コロナ関連、ミャンマー情勢、気候変動対策などについてお話しする。

まず、新型コロナウイルス関連について。
医療体制が逼迫し、ワクチン接種の更なる推進が必要とされている現時点において、9都道府県における緊急事態宣言の発出・延長は免れない事態であったと受け止めている。政府には、感染拡大防止対策の徹底、必要病床数の確保、ワクチン接種の推進に引き続き全力を挙げて取り組んでもらいたい。加えて、新型コロナウイルスは全世界的に蔓延したパンデミックであり、その対策は一国で完結するものではない。治療方法やワクチンの効果などあらゆる関連情報の共有や、ワクチンの調達などで国際的な連携を推進してもらいたい。当会としても、政府・自治体・関係機関の取り組みに、全面的に協力していく。

次に、ミャンマー情勢について。
現地に滞在する邦人の安全や事業環境などについて、大変憂慮しており、人命尊重、暴力の停止、解決に向けた早期の歩み寄りを切に希望している。治安が悪化した3月下旬から4月上旬までは、撤退あるいは営業の一時停止などの措置を取る企業が多かったが、騒乱が膠着状態に入ったこともあり、4月後半から現時点までの間に、一部の企業では撤退の延期や一時帰国していたスタッフをミャンマーに戻すという動きがみられる。ただ、銀行業務において、資金量や事務量が圧倒的に不足しており、企業の営業活動に支障をきたしている。ODA案件については、工事及び銀行業務の停滞により工事関係者や下請業者に支払いができない事態が発生している。日本のODA関連事業に関与する企業からは、ミャンマーに対するODAの短・中期的な枠組みを日本政府に示してほしいという要望が上がっている。当会としても、現地駐在員や関係者の安全を最優先に、会員企業と連携しながら、適切な対応を講じていく。

次に、気候変動対策について。
先月開催された気候変動サミットでは、各国が温室効果ガスの削減目標の引き上げや前倒し実施を表明するなど、脱炭素社会の実現に向けて積極的な姿勢が世界に示された。わが国についても「30年に13年度比46%削減」という新たな目標が菅首相より表明された。この目標達成に向け、政府には企業の気候変動対策への投資意欲を高め、イノベーションを加速させるような政策の実行や、あるいは国際的なルールメイキング、第三国支援等における各国との連携・協力を推進してもらいたい。当会としても、気候変動問題の解決に資するわが国の政策を後押ししていきたい。

最後に、当会の特別研究事業について。
広範な業界や地域で事業を展開する商社は、産業構造の変革やサプライチェーンの最適化にも資する、デジタル化の動きを牽引すべき存在であると考える。当会は、本年4月より1年間、「デジタル新時代と商社」をテーマに、会員13社により、共通課題の解決や新たなビジネスモデルの在り方などについて研究を行う。

質疑応答

(記者) インド、台湾でコロナ変異株の感染が拡大しているが、商社ビジネスに与える影響は?

(会長) 現時点ではビジネスに大きな影響は出ていないと認識している。

(記者) イスラエルとパレスチナの武力衝突が、商社ビジネスに与える影響は?

(会長) 現時点で、具体的な影響があるという連絡は受けていない。

(記者) ワクチンパスポートに対する政府への要望は?

(会長) 企業活動の面からは、主要な貿易相手国・地域と連携し、人の移動を促していくための「経済人のワクチンパスポート」を早期に実現してもらいたい。一方、国内でのワクチンパスポート普及については、持っている人・持っていない人の間で差別が起こらぬよう、政府には人道的な側面からも慎重に検討を行ってもらいたい。

(記者) 経団連の会長交代をどう思うか?

(会長) 他の経済団体の人事についてコメントする立場にはない。従来通り、経済三団体と貿易会は連携を取り、政府に対する提言等を行っていく。

以上