令和4年度与党税制改正大綱についての小林会長コメント

会長コメント

2021年12月14日

令和4年度与党税制改正大綱が公表された。ウィズコロナにおける社会経済活動のさらなる活性化にも資する他、企業の変革を後押しする内容であり、岸田政権の目指す「成長と分配の好循環」の実現にもつながるものとして歓迎したい。

大綱では、企業の積極的な賃上げや教育訓練等を促すための優遇税制が拡充された。賃金引上げのインセンティブだけでなく、研究開発や人的資本への投資強化に直結し、多様なステークホルダーへの還元に結びつく内容と評価する。

また、オープンイノベーション促進税制、5G導入促進税制等の延長・拡充は、産業競争力強化や技術革新に資する施策として評価したい。一方で、カーボンプライシングを含め、脱炭素化推進のための具体的な制度は明記されなかった。今後、脱炭素化への取り組みが自己の利益につながるような仕組みを税制も含めて構築し、企業や消費者に行動変容を促していくことが求められる。

加えて、本年は、OECD/G20において、約100年続いた国際課税原則が見直されるという歴史的な出来事があった。今後は多国間条約の策定・批准や国内法の改正等、各国の実行力が問われるフェーズである。この点、大綱に「わが国企業等への過度な負担とならないように既存制度との関係などにも配慮」することが明記されたのは心強い。政府には、各国と協調し、真に公正な国際的課税制度の構築に向けて尽力いただきたい。

以上