会長定例記者会見(2022年2月16日)要旨

定例記者会見

2022年2月16日

コロナ関連について。
オミクロン株の感染が急速に拡大し、新規感染者数や濃厚接触者数は過去最高水準にある。医療体制のひっ迫や、社会機能の低下が懸念される中、36都道府県に「まん延防止等重点措置」が適用されていることは、やむを得ない措置であると考える。
まず政府には、発症予防効果の高まりが期待されるワクチンの3回目接種が、一日も早く国民に広く行きわたるよう、交互接種の有効性や安全性などの説明と併せて、全力を挙げて対応していただきたい。岸田総理が1日100万回に増やすよう指示されことを心強く感じるとともに、当会としても、会員企業による職域接種などを通じ、積極的に協力していく所存である。
また、感染抑止と社会経済活動の両立に向けては、諸外国と情報交換の上、オミクロン株の特性を科学的見地に基づき正確に捉え、医療を始めとする限られたリソースを効率よく活用する必要がある。政府には、状況の変化に応じ、感染者や濃厚接触者の隔離期間、水際対策、ワクチン・検査パッケージ制度などを機動的かつ柔軟に見直し、適時適切に更新し続けていただきたいと考える。

ウクライナ情勢について。
緊張緩和に向けた米国・EU諸国とロシア間の対話が続いており、ロシア軍の一部撤収報道もあるが、事態を大変憂慮している。会員企業の中には駐在員を退避させる動きなども出ている。事態が急変する可能性もあり、会員企業の社員および関係者の安全を第一に対応している。
ロシアによるウクライナ侵攻が行われれば、天然ガスや原油の供給の滞りや価格の高騰など、世界経済への悪影響が危惧される。

今国会にて提出予定である経済安全保障推進法案について。
経済安全保障法制の整備は早急に行うべきと考える。本法案が、不安定な国際情勢の中で、わが国の国益を踏まえつつ、企業の競争力を維持・強化していくための重要な柱となることを期待する。
サプライチェーン強靭化に関しては、企業活動への影響が予見可能な運用となるようお願いしたい。具体的には、規制対象となる分野、物品、技術、企業名などをできる限り明示していただきたいと考える。
また、自由貿易の礎であるWTO協定などの国際ルールとの整合性に十分に留意する必要があると認識している。

商社シンポジウムについて。
今年度の商社シンポジウムは、「商社が目指す公平な社会と経済の発展」をテーマに、来る3月7日にオンラインで開催する。当会のウェブサイトなどでご案内しているので、ご視聴いただけたら幸いである。

質疑応答

(記者) 仮にロシアがウクライナに侵攻した場合、商社のビジネス環境への影響は?

(会長) ロシア軍の一部撤収報道もあり状況は流動的だが、日本の対ウクライナ貿易は機械や自動車などの輸出、小麦やタバコなどの輸入が主であり、駐在員などの退避に伴うビジネス停滞はあろうが、全体的には大きな影響はないと考える。

欧州ではLNG価格が供給不足から高騰している。商社は世界各国でLNG権益を保有し現地生産しているが、日本政府から要請を受け、欧州向けLNG供給支援に協力している会員企業もある。国益の観点から、日本のユーティリティ向け供給責任を果たすことが第一だが、欧州のエネルギー危機は世界経済、日本経済にも波及し得るため、全世界向け販売用に余剰があれば供給していきたい。

(記者) 政府の水際対策の緩和方針に対する受け止めは?

(会長) 緩和の方向を評価したい。政府には、諸外国と密に医学的な情報交換を行い、科学的根拠に基づく緩和措置を実施してもらいたい。

(記者) 仮にロシアに対する金融制裁としてロシア銀行がSWIFTから除外された場合、商社への影響は?

(会長) 何らかの代替手段により決済上の重大な影響はないと考える。ロシア経済が金融制裁により収縮・破綻する事態となれば、日本はLNGなど資源の輸入において影響を受けるが、スワップ取引などマーケットを通じた解決手段はあるだろう。

以上