日米首脳会談についての小林会長コメント

会長コメント

2022年5月25日

岸田総理とバイデン大統領による初の本格的な会談が、23日に行われた。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米両国が強固な結束をもって緊密に連携していくこと、また、米国がインド太平洋地域への関与を強化していくことが改めて確認・明示された意義は大きい。

特に、米国主導の新たな経済圏構想である「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に、わが国が参加を表明したことを歓迎したい。軍事侵攻や覇権主義的な動きなど、地政学リスクが顕在化し、サプライチェーンの強靭化が重要性を帯びる中、インド太平洋地域の各国が競争力を維持・強化し、成長を続けていく上で、米国の深い関与は重要である。

IPEFは、貿易、供給網、インフラ・脱炭素、税・反汚職の4分野で構成され、貿易を巡る労働・環境問題への対応やデジタル貿易など、CPTPPに盛り込まれたルールを取り込みつつ、半導体など重要物資や先端技術の供給網強化が期待できる一方で、関税の削減・撤廃に踏み込まないという点で、市場の開放による利点が乏しいといった指摘もあり、枠組みの実効性向上が今後の課題と認識している。

日本政府には、IPEF参加各国が実利を得られるよう、今後のルール作りなどにおいて主導的な役割を果たしていただきたい。中でも、インフラ・脱炭素については、性急な化石燃料からの脱却が難しいアジアの実態を反映する必要があり、わが国が、アジアと米国の橋渡し役となることが期待される。
また、自由で公正な貿易ルールに基づいた多国間貿易体制のさらなる強化に向け、引き続き、米国のCPTPP復帰を粘り強く働き掛けていただきたい。

以上