令和5年度与党税制改正大綱についての國分会長コメント
2022年12月21日
当会は、「わが国の投資立国化を確実な流れとし企業のグローバルビジネスを一層推進する制度の整備を」という観点から令和5年度税制改正要望を取りまとめた。投資立国というキーワードは、「骨太の方針2022」において方向性が示されたものであり、投資により海外の成長をわが国経済に取り込むことは、わが国の財政健全化だけでなく、防衛力強化のための財源確保の意味合いにおいても重要である。令和5年度与党税制改正大綱において、「経済を立て直し、そして財政健全化に向けて取り組む中で、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を築く」という方向性が示されたことについては評価したい。
特に国際課税分野においては、「100年に一度」の包括的見直しとされる国際合意に基づき、世界共通の最低税率を15%とするグローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)が新たに導入される。これにより、各国の法人税率の引き下げ競争に終止符を打つことで、わが国企業と海外企業との公平な競争環境の整備につながることが期待される。一方、わが国には課税範囲が重複する既存制度として外国子会社合算税制(CFC税制)という負担の大きな制度があるため、「第2の柱」の追加導入は、わが国企業の過重な負担をさらに増大させ、海外企業との競争力を著しく削いでしまう懸念がある。与党大綱の第一章「令和5年度税制改正の基本的考え方等」において、CFC税制について、「令和6年度税制改正以降に見込まれる更なる「第2の柱」の法制化を踏まえて、必要な見直しを検討する」と記載されているが、わが国の税制が万が一にも企業の積極的な海外展開への阻害要因となることのないよう大胆な見直しを求めたい。
当会は投資立国化への流れを先んじて体現している商社業界として、わが国の財政健全化、経済成長に一層貢献できるよう、国際課税分野の課題についての是正と投資立国の基礎インフラとしての税制の整備を今後も強く要望する。今後もわが国企業が積極的に海外事業を展開していけるようお力添えをお願いしたい。
以上