令和6年度与党税制改正大綱についての國分会長コメント

会長コメント

2023年12月18日

令和6年度与党税制改正大綱では、「デフレ脱却に向けた税制面での取組みに加えて、税制に対する国民の信頼を高める意味においても、人口減少、経済のグローバル化など、国内外の経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直しを行う」との方針が示された。これは「骨太方針2023」の「経済成長と財政健全化の両立を図るとともに、少子高齢化、グローバル化等の経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進める」という方向性にも合致し、各国との公平な競争の実現や『新しい資本主義』に向けた改革につながるものと評価できる。

特に国際課税分野においては、「100年に一度」の包括的見直しとされる国際合意に基づき、世界共通の最低税率を15%とするグローバル・ミニマム課税(デジタル経済課税「第2の柱」)が日本をはじめ、各国・地域で導入されつつある。当該制度の導入は我が国企業にとって、海外企業との公平な競争環境の整備につながることが期待される一方、我が国には外国子会社合算税制(CFC税制)という複雑な既存制度があり、両制度の課税範囲は一部重複するため、我が国企業の過重な負担をさらに増大させ、海外企業との競争力を著しく削いでしまう懸念がある。こうした状況から、与党大綱においてCFC税制の事務負担軽減策が提示されたことを評価する。また、「令和7年度税制改正以降に見込まれる更なる『第2の柱』法制化を踏まえて、必要な見直しを検討する」方向性が示されたことを受け、今後、グローバル・ミニマム課税とCFC税制が併存する中で両税制の「あるべき姿」について十分な検討がなされることを期待したい。

当会は、サステナブルな世界の構築を掲げており、商社が持つ知見や経験を活かして地球規模の課題解決に貢献するとともに、世界の持続的な繁栄に欠かせない自由で公正なルールに基づく貿易・投資体制の維持・推進に向け取り組んでいく。我が国企業が一層積極的に海外展開し、海外の成長を我が国に取り込みやすい税制を構築していただけるよう、適切な制度の整備、是正を今後も強く求めていく。

以上