商社が分かる

商社のダイバーシティ~Diversity & Inclusion~

第7回ダイバーシティ推進タスクフォース
「女性活躍推進の意義と課題
~ 男女の区別なく従業員が活躍できる組織を目指して~」

2016.12.13女性活躍推進

池田 心豪

独立行政法人労働政策研究・研修機構
企業と雇用部門 主任研究員

12月13日に開催したダイバーシティ推進タスクフォースでは、独立行政法人労働政策研究・研修機構、企業と雇用部門主任研究員の池田心豪氏による表題のご講演と、参加者によるグループ・ディスカッションを行いました。男女間格差の実態把握とポジティブ・アクション(後述)に有用な「見える化」支援ツールの概要と併せてご紹介します。

講演概要

  • ダイバーシティ、女性活躍推進は雇用機会均等だけでなく、経営合理化(優秀人材確保、人材効率活用、不確実性に強い経営判断)を通じ企業が生き残るために必要。
  • 商社・貿易業では、ビジネス領域拡大に対応した経営人材の育成、女性総合職の活躍が重要。女性が就業継続できるだけでなく、営業や駐在経験を含む幅広い職務経験や教育機会を通じて成長し、男女の別なく適材適所で登用されることが必要。
  • 「男女を区別してない」と思っていても実は見えていない課題があるかもしれない。これを「見える化」することにより、改善の必要性に気付き、浮かび上がった課題、その背景に目を向けることが重要。厚生労働省「見える化」支援ツールを利用すれば、産業別、業界別、業界内での比較を通じ、自社のポジションが明確になる。
  • 男女間格差は、結果は同じでも原因はさまざま。募集・採用・配置・異動・能力開発・昇進・退職など、人事労務管理の全領域がポジティブ・アクションの取り組み対象となる。
  • ポジティブ・アクション実行のポイントは、①誰にでもチャンスを(特別な女性だけでなく)、②育成がポイント(もともとできる人を想定しない)、③意識の背後に目を向ける(どうすれば女性の意識を高められるか)、④経営課題として取り組む目的を明確に(女性の問題ではなく、企業の経営体質強化のために男女の働き方を変える)。

グループ ディスカッション

講演後、5~6名のグループに分かれて「女性の配属・定着(勤続)に関する課題やその背景」をテーマに、「見える化」支援ツール活用マニュアル(貿易・商社業)の業界平均値を参照しながら、採用、定着、異動、昇進等おのおの自社の状況を振り返り、具体的課題の共有や意見交換を行いました。

ポジティブ・アクション

ポジティブ・アクションとは、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から、「営業職に女性はほとんどいない」「課長以上の管理職は男性が大半を占めている」等の差を解消しようと、個々の企業が行う自主的かつ積極的な取り組みをいいます。その取り組みに際し、自社の男女間格差の実態把握、現状分析、課題認識に有効なものが、厚生労働省が作成した業種別「見える化」支援ツールです。業界の特性に合わせた指標や、自己診断する際に参考基準となる「業界平均値」との比較などを通じて、自社特有の課題が把握できます。詳しくは、ポータルサイト(http://www.positiveaction.jp/)をご覧ください。

「見える化」支援ツールを活用してみよう

「見える化」支援ツール(2014年度、貿易・商社業版)の作成に当たり、日本貿易会は、ヒアリング、委員派遣等の協力を行いました。女性活躍推進に向けたポジティブ・アクションに取り組むきっかけとして、ぜひご活用ください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/koyoukintou/2012/03/13-01.html

支援ツールのアウトプットイメージ

  • 図1 業界の主要指標と自社との比較
  • 図2 「定着」と「活躍」の関係