第9回ダイバーシティ推進セミナー
「組織も部下も伸ばす“イクボス”のすすめ~多様な人材を活かすマネジメントとは」
2019.2.28ダイバーシティ推進
第9回ダイバーシティ推進セミナーは、“イクボス”をテーマに下記のとおり開催し、セミナー出席者約90名、交流会出席者約40名と盛会にて終了しました。参加者アンケートも大変満足度の高い評価となり、「イクボスの理解が進んだ」、「ワーク・ライフ・ソーシャルの3つの柱の重要性を理解した」、「今後のマネジメント・意識改革の参考にしたい」という前向きな意見が多く寄せられました。
- 日時
- 2019年2月28日(木) 15:30~19:00 (セミナー~17:30)
- 会場
- セミナー 世界貿易センタービル3F WTCカンファレンスセンター Room A
- 交流会 世界貿易センタービル6F 日本貿易会 A会議室
- テーマ
- 「組織も部下も伸ばす“イクボス”のすすめ ~多様な人材を活かすマネジメントとは」
- 次第
- 1.開会挨拶 中村邦晴 日本貿易会会長
- 2.第一部 基調講演
講師:川島高之氏 NPO法人ファザーリング・ジャパン/理事 NPO法人コヂカラ・ニッポン/代表
- 3.第二部 事例紹介・パネルディスカッション
- パネリスト:北原宗明氏 日本航空㈱広報部長
河西敏章氏 双日㈱人事部長
- モデレーター:武村良平氏 日本貿易会ダイバーシティ推進コミッティ座長
丸紅㈱人事部ダイバーシティ・マネジメント課長
- 4.交流会
<概要>
中村会長の開会挨拶に続き、川島氏による基調講演では、イクボスとはから始まり、イクボスはなぜ必要か、部下力の向上、上司の覚悟、時間泥棒の退治、チーム力の強化、全員の心得と話が続き、最後にワーク・ライフ・バランスは与えられるものではなく、自ら取りに行くものであり、働き方改革は、生き方改革であると結ばれた。
第二部の事例紹介においては、日本航空㈱北原氏から、同社でのワークスタイル変革の取組例や自身のイクメン時代の経験、自部門での取組例を意識、道具、制度、ボスの4つの変革ポイントについて説明があり、その成果についても言及があった。双日㈱河西氏からは、イクボス企業同盟に加盟した経緯や自身のブラジルでの体験等を交えてダイバーシティ経営の事例等について紹介があった。
その後、武村座長をモデレーターとして、イクボスに変わったきっかけ、イクボスの重要性を組織に浸透させる上で気を付ける点、イクボス・ダイバーシティ推進が企業にとってなぜ必要か等に関し、パネリストによるディスカッションが行われ、最後に、会場からの質疑応答を行った。
パネリスト川島 高之(かわしま たかゆき)氏
1987年慶応大学卒、三井物産㈱入社、2012年に上場会社の社長就任、「イクボス式」経営により3年間で利益8割増、株価2倍、残業1/4、 社員満足度調査も過去最高に。
2016年フリーランサーに。NPOファザーリング・ジャパン理事、NPOコヂカラ・ニッポン代表、内閣府・男女共同参画委員、文科省・学校業務改善アドバイザー。子育てや家事(Life)、会社社長や商社勤務(Work)、PTA会長やNPO 代表(Social)という3つの経験を融合させた講演が年300回。「元祖イクボス」としてNHK「クローズアップ現代」で特集され、AERA「日本を突破する100人」にも選出。
Q:「企業にとって、ダイバーシティを推進することで儲けにつながるのですか?」
A:「利益アップなど組織の成果を高めるためにやっているというのが、私の考えです。ワーク・ライフ・バランス、イクボス推進、働き方改革などを私がやってきた最大の目的は、業績アップのためです。今まで補欠扱いされてきた人がレギュラーで活躍できるようになるだけでなく、全社員のライフが充実することで、いろいろなインプットを持つ社員が増えれば、新しいものが生まれる組織になります。「属性」の多様性(男性、女性、老若男女等)×「個」の多様性(仕事、趣味、ソーシャル等)のある組織は強い。従来の「日本人男性×仕事」のモノクロ組織からは、新しいものは生まれないし、リスクばかりが大きくなる。どう考えても、働き方改革をベースに、多様な人材が、今まで補欠扱いされた人までもレギュラーで活躍できるようになる組織が強くなる。これは経営戦略のど真ん中です。これを経営陣はもちろん、若い人までしっかり伝えていくことが大事だと思っています。」
パネリスト北原 宗明(きたはら むねあき)氏
日本航空㈱ 広報部長
1988年に日本航空に入社。成田、伊丹、ロンドンにて運航管理の現場で経験を積んだ後、運航関連規程管理業務に従事。1999年より整備・空港・運航の各本部にてHR関連業務を長く担当し、調達部長を経て2016年より広報部長。プライベートでは、自治会長やPTA会長を歴任し、現在はマンション管理組合の理事を務めるなど、地域活動に積極的に参加している。小学・中学生時代をブラジルで過ごし、趣味は本場仕込みのサッカー。「イクボスアワード2018」グランプリ受賞。
Q:「真のダイバーシティ、今後目指す姿とはどのようなものとお考えですか?」
「日本は人口がどんどん減少し、国籍も含めて多様性がどんどん進化していると思います。そうなると、会社もそれを映す鏡でなければ、間違いなく世の中から取り残され、その会社は衰退していくでしょう。ダイバーシティ推進については、最初は、ある程度、意識して取組んでいく必要があるのでしょうけれども、そのうち当たり前になり、ダイバーシティって死語だよねと意識しなくてもダイバーシティが行われている、こういう姿が理想かなと思っています。」
パネリスト河西 敏章(かさい としあき)氏
双日㈱ 人事部長
1990年に日商岩井に入社。審査業務から主にキャリアをスタート。1997年に初めての駐在としてブラジルへ渡り、公私ともども強烈にダイバーシティを経験。2004年に日商岩井を退社。他業界で3年間、取引先の選定と管理の仕組みづくりに従事。2007年に双日に入社した後は、リスク管理部長・米国駐在を経て2018年6月より現職。学生時代より結婚まで空手に熱中。最近の趣味はカフェとウオーキングで、人事部長自ら健康経営を実践。
◆双日㈱は「イクボス企業同盟」に、総合商社として初めて加盟。
Q:「ダイバーシティは、フルで働けない社員の救済ですか?」
「先ほど、フルで働けない社員の救済?という見方がまだあるというお話がありましたけれども、僕は救済ではなくて“応援”だと思っています。ヘルプとかではなくてチェアアップに尽きると思うのですね。それは、明日は我が身、これからどんどん高齢化社会になってきますから、育児よりもっと難しい介護の問題にどう対応するかが本丸として残っていますので、いつ制約が掛かる事態が起きたとしても、業務パフォーマンスを上げるメンタリティをどのように作っておくかが非常に大切だと考えています。制約状態の中にこそ、むしろイノベーティブなことはたくさんありますし、制約のある方々が、働きやすくなることが働きがいに繋がるとも思います。会社としてしっかりと後押しし、応援したいと思います。」
モデレーター武村 良平(たけむら りょうへい)氏
丸紅㈱ 人事部ダイバーシティ・マネジメント課長
日本貿易会2018年度ダイバーシティ推進コミッティ座長
「川島さんのご講演で、『上司としての一丁目一番地は、部下の私生活にしっかり寄り添い、相談されやすい上司になること』=『働き方改革の一丁目一番地』が、非常に心に残りました。そして、会場にお越しになった皆さんに持ち帰って頂ける印象に残るキーワードがたくさん散りばめられていたと思います。ぜひ働き方改革の実現の第一歩として、イクボスを一つの参考材料として取り組んで頂けたらと思います。」
セミナーの様子
交流会の様子
イクボスの定義
以下を満たす上司や経営者
そして、部下や次世代を育てるボス