いま世界では1年間に、日本の国土の20%に当たる約730万ヘクタール※もの森林が失われています。森林がへると、地球の温暖化(おんだんか)や砂漠化(さばくか)が進み、森林に生きる生物にも大きな影響(えいきょう)をあたえます。商社では、植林活動や熱帯林の再生活動をはじめ、大切な森林資源を未来に残すことができるように、地球環境を考えた適切(てきせつ)な森林経営を行うなど、豊かな森林を取りもどす活動に力を入れています。
※国連食糧農業機関(FAO)「世界森林資源評価2007」
森林には自然環境を保つための大切な機能(きのう)がたくさんあります。木は成長していくときに、光合成(こうごうせい)によって空気中のCO2を吸収(きゅうしゅう)し、幹(みき)や根の中に閉じこめます。木が一定の樹齢(じゅれい)になると、CO2の吸収量はへってしまいますが、家の柱や家具などに使用することで、長い間CO2を木の中に閉じこめておくことができ、地球温暖化(おんだんか)を進めるCO2の排出(はいしゅつ)をおさえることができます。また森林は、土砂の流出(りゅうしゅつ)を防ぎ、雨水を地下に貯める「自然のダム」としての働きもします。さらに、生態系(せいたいけい)の一つとしてさまざまな生物を育てる場にもなります。森林は、地球環境を豊かに保つ重要な存在(そんざい)なのです。
森林がへっている理由は、販売(はんばい)を目的とした大量伐採(ばっさい)、大規模(だいきぼ)な農地の開発、薪(まき)や炭など燃料(ねんりょう)としての利用、森林火災などがあげられます。また、木材を生産する国の法律に違反(いはん)した違法伐採(いほうばっさい)なども問題となっています。日本は、木材の多くを外国から輸入(ゆにゅう)しているため、木材の生産国と協力し、違法な伐採をへらすための活動や支援(しえん)を行っています。
商社では、アジアやアフリカ、オーストラリア、南米など、世界中で失われた森林を元にもどす植林活動に取り組んでいます。ただ木を植えるだけでなく、一定期間で伐採(ばっさい)と植林をくり返し、切った木材を有効(ゆうこう)に利用しながら、大切な森林資源を未来にのこすことができる「持続可能(じぞくかのう)な森林経営」を行っています。商社が経営する森林から生産される木材は、「地球環境を考えて生産されたエコな木材」として国際的(こくさいてき)な機関(きかん)にみとめられて取り引きされています。また世界中に森林を保有(ほゆう)・管理し、CO2の吸収量(きゅうしゅうりょう)を増やすことにも取り組んでいます。
このような緑を守り、育てる商社の活動によって、世界各地で失われた緑が元にもどりはじめています。
熱帯林の再生プロジェクト(マレーシア)
原木や製材が船積みされる木材コンビナートの港(ロシア)