地上から10~50kmの空には、人間や生物にとって有害(ゆうがい)な太陽の紫外線(しがいせん)をブロックしてくれるオゾン層が広がっています。このオゾン層がフロンなどの化学物質(かがくぶっしつ)によってこわされ、うすくなっているのがオゾンホールです。商社では、オゾンホールがこれ以上大きくならないように、世界各地でフロン類の回収(かいしゅう)・焼却(しょうきゃく)やリサイクルなどに取り組み、オゾン層の破壊(はかい)の進行を防いでいます。
フロン類は、冷蔵庫、エアコン、スプレーなどに使用されてきた化学物質(かがくぶっしつ)です。私たちが冷蔵庫やエアコンなどを使うと大気中に放出され、オゾン層まで上昇(じょうしょう)し、紫外線(しがいせん)と反応することで、オゾン層をこわします。世界各国は会議(かいぎ)を開き、1987年のウィーン条約(じょうやく)によって、フロンやフロンと同じようにオゾン層を破壊(はかい)する物質の製造(せいぞう)・使用の禁止を決めました。フロン類は2030年までに世界で全廃(ぜんぱい)され、フロン類を利用した製品はフロン類を利用しない製品に変わっていくことになっています。
オゾン層が破壊(はかい)されると、人間や生物に有害(ゆうがい)な太陽からの紫外線(しがいせん)がふりそそぎ、ひふのがんや白内障(はくないしょう)という目の病気になる人が増える危険性(きけんせい)があります。また植物の成長(せいちょう)や、魚のえさとなるプランクトンの成長が悪くなるともいわれています。今後オゾンをこわすフロン類はつくられなくなりますが、フロン類が使われてきたこれまでの冷蔵庫やエアコンなどが古くなって捨(す)てられるときは、きちんと回収(かいしゅう)し、処理(しょり)しなければなりません。
フロン類は世界で全廃(ぜんぱい)されることが決まりましたが、開発途上国(かいはつとじょうこく)では、回収(かいしゅう)・処理(しょり)が先進国より遅(おく)れています。そこで商社では、開発途上国においてフロン類を回収し、高温で燃焼(ねんしょう)することで無害化(むがいか)する事業(じぎょう)を行っています。そのほか、フロン類を化学分解(かがくぶんかい)して、化学製品の原料にリサイクルする取り組みも実施(じっし)しています。この方法では、燃焼した場合にくらべて、エネルギーを節約(せつやく)することができ、燃焼後に発生する産業廃棄物(さんぎょうはいきぶつ)もなくすことができます。商社はこのようにフロンの回収・処理を通じて、世界中で進められているフロン類の全廃(ぜんぱい)に大きく貢献(こうけん)しています。