人間と地球に生きるすべての生物がともにくらすことができ、自然からの恵みを受けつづけることができる社会を自然共生社会(しぜんきょうせいしゃかい)といいます。
空気、大地、川、海、そしてそこに生きる動植物など、すべての自然環境は地球という星のなかでつながっていて、どこかの環境に問題が起これば、必ず他の環境に影響(えいきょう)がおよびます。ですから自然共生社会は、地球にくらす一人一人が、身近な自然環境を大切にしないと実現できません。自然を大切にする。その約束を守ることができれば、地球は豊かな恵みをあたえつづけてくれるのです。
地球上には非常に数多くの生物が存在(そんざい)しています。また、それぞれが異(こと)なる環境に適応(てきおう)し、同じ種であっても、生息(せいそく)する地域(ちいき)や環境によって、少しずつ体のかたちや行動が違っていたりします。このことを「生物多様性(せいぶつたようせい)」といいます。私たち人間は地球の長い歴史のなかで、生物からたくさんの恵みを受けてきました。毎日の食料はもちろん、木を燃料にしたり、家を建てたり、植物から衣服(いふく)をつくることもしてきました。また、病気のときに飲む薬も約40%は自然界から得られたものを原料としています。※生物が多様(たよう)でいられること、つまり生物が生きる自然が大切に守られることが、私たち人間の社会には必要なのです。
※出典:WWFジャパン
水や土壌(どじょう)の汚染(おせん)、空気中の有害(ゆうがい)な化学物質(かがくぶっしつ)をふくんだ酸性雨(さんせいう)、オゾン層の破壊(はかい)、森林の減少(げんしょう)と砂漠化(さばくか)など、世界のいたるところで自然環境の悪化が問題になっています。自然環境の悪化は、私たちの生活環境や健康だけでなく、自然界に生きる生物にも大きな影響(えいきょう)をあたえます。国際自然保護連合(こくさいしぜんほごれんごう)が2009年に発表した、絶滅(ぜつめつ)のおそれのある野生生物の数を調べた「レッドリスト」によると、絶滅の危険性(きけんせい)が高い、または絶滅が心配される野生動物が、17,291種もいることがわかりました。人間社会の活動によって、さまざまな生物が大きな危機(きき)にさらされているのです。