ヨーロッパで産業革命(さんぎょうかくめい)が起こった250年ほど前から、人間の社会は石炭や石油などを燃やし、CO2などの温室効果(おんしつこうか)ガスを大気中にたくさん排出(はいしゅつ)するようになりました。その結果、大気中の熱が宇宙(うちゅう)に逃げなくなり、地球の気温が上がりつづけるようになりました。1880~2012年の期間に0.85[0.65~1.06]℃上昇しています。今後100年間で、1986~2005年を基準とした、2081~2100年における世界平均地上気温の変化は、4種のシナリオ想定では(1)0.3~1.7℃、(2)1.1~2.6℃、(3)1.4~3.1℃、(4)2.6~4.8℃の範囲に入る可能性が高いとされています。また、(1)以外のシナリオでは1850〜1900年と比較した21世紀末の気温の上昇量が1.5℃を超える可能性が高く、(3)(4)は上昇量が2℃を超える可能性が高い(高い確信度)とされています。※。温暖化(おんだんか)がこれ以上すすむと、異常気象(いじょうきしょう)の増加、動植物の絶滅(ぜつめつ)、水不足や食りょう不足などが起こって、地球環境と私たちの社会に、取り返しのつかない悪影響(あくえいきょう)をあたえる可能性(かのうせい)があります。
※出典:IPCC〔気候変動に関する政府間パネル〕
第5次評価報告書(2013)
地球温暖化(おんだんか)の原因は、人間が電気をつくり出したり、物を生産したり、人や物を運んだりするために、石炭、石油などの化石燃料(かせきねんりょう)を大量に消費(しょうひ)し、CO2やメタン、フロンなどの温室効果(おんしつこうか)ガスを排出(はいしゅつ)してきたことが原因です。なかでも地球温暖化に大きく影響(えいきょう)をあたえているCO2は、大気中の濃度(のうど)が工業化する前より40%も現在では増加しています※。
※出典:IPCC〔気候変動に関する政府間パネル〕 第5次評価報告書(2013)
低炭素社会(ていたんそしゃかい)とは、CO2などの温室効果(おんしつこうか)ガスの排出(はいしゅつ)をへらしながら、経済発展(けいざいはってん)をめざす社会です。石炭、石油などの化石燃料(かせきねんりょう)に頼(たよ)ってきた社会のあり方を見直し、CO2の排出と吸収(きゅうしゅう)のバランスを取り、経済の発展とともに環境をよくし、環境をよくすることでまた経済も発展する、という良い循環(じゅんかん)をつくっていきます。私たちの社会が、未来においても安心してくらせる社会になるかどうかは、低炭素社会の実現(じつげん)にかかっているのです。