世界の海でサンゴが失われつつあります。サンゴは魚のすみかや産卵(さんらん)場所として、また海岸を守る防波堤(ぼうはてい)として重要な役割(やくわり)をはたし、さらには海中のCO2濃度(のうど)の調節(ちょうせつ)にも深く関わっています。21世紀中に世界のサンゴの大半が失われる可能性(かのうせい)もあるといわれ、商社はサンゴ礁(しょう)を守るための研究・調査活動や教育活動を支援(しえん)しています。
サンゴの体内には、楬虫藻(かっちゅうそう)という単細胞(たんさいぼう)の藻類(そうるい)がいて、太陽光と海中のCO2で光合成(こうごうせい)を行い、サンゴに酸素やたんぱく質などの栄養(えいよう)をあたえています。その栄養の一部はサンゴを通して周囲(しゅうい)の小さな生き物にもあたえられ、海中の豊かな生態系(せいたいけい)を形づくっています。また、この光合成によって海にとけるCO2が吸収(きゅうしゅう)され、海中のCO2濃度(のうど)の調節(ちょうせつ)に役立っています。サンゴは小さな魚たちにとって安全にくらす家でもあり、海の生物の4分の1は、この栄養豊かなサンゴ礁(しょう)で生きているといわれています。
1998年に世界各地の海でサンゴが真っ白になっているのが見つかり大きなニュースになりました。これはサンゴの体内にいる楬虫藻(かっちゅうそう)が抜け出してしまうことで、サンゴが色あせて白くなり、時間がたつと死んでしまう白化(はっか)現象です。白化現象は海水温が30℃を超えたり、サンゴが何らかのストレスを受けたりすると起こるといわれています。そのほかにもサンゴを食べるオニヒトデの大量発生や、排水(はいすい)や土砂の流入による海洋汚染(かいようおせん)などによって、サンゴは死滅(しめつ)の危機(きき)にさらされているのです。
商社は、沖縄、ミッドウェイ島、インド洋のセーシェル諸島の3つの海で、大学の研究チームや市民とともに、サンゴの白化(はっか)現象の解明(かいめい)や海水の調査、気候変動がサンゴ礁(しょう)にあたえる影響(えいきょう)などの調査を行っています。これらの活動は2005年より行われており、サンゴ礁を守るためのさまざまな研究・活動の成果が、研究者を集めた会議(かいぎ)や雑誌(ざっし)などで発表されています。また、サンゴ礁の危機(きき)を伝える市民向けの講演会(こうえんかい)や中学校で特別授業を行うなど、サンゴ礁の大切さを伝える教育活動にも取り組んでいます。サンゴが元気に生きる海を取りもどすために、今後も商社はこれらの研究・調査活動に協力していきます。
魚のすみかになるサンゴ
サンゴ礁を守る取り組み