いま世界の多くの国々では水不足と、日々の生活や工場から出る汚(よご)れた水によって、地下水や河川が汚染(おせん)されつつあることが大きな問題になっています。安全な水がない国々では、多くの子どもが水を原因とした病気で亡くなっています。商社では、地下水や河川の浄化(じょうか)、水をきれいにする薬の開発など、水質汚染(すいしつおせん)の防止・改善(かいぜん)に取り組むほか、水不足が深刻(しんこく)な国々において、海水から塩分を取りのぞいて淡水(たんすい)に変えるプロジェクトにも参加しています。
世界には、汚(よご)れた水を浄化(じょうか)する下水処理設備(げすいしょりせつび)や、安心して飲むことができる水をつくる上水設備(じょうすいせつび)が整っていない地域(ちいき)がまだまだあります。世界の人口64億人のうち、約8億8,400万人※は安全な水を飲むことができず、また26億人※には衛生的(えいせいてき)なトイレがありません。そして、安全な水とトイレがないことを原因に、毎年180万人※もの子どもが病気で亡くなっています。日本では当り前のきれいで安全な水は、世界ではまだ当り前ではないのです。
※ユニセフ/世界保健機関 08年版「飲料水と衛生施設に関する報告書」
人口の増加や経済(けいざい)の発展(はってん)などにより、世界は水不足になっています。2025年には世界の3分の2の人※が、水の不足によって日常生活に不便(ふべん)を感じるといわれています。じつは日本も水不足だといわれています。日本は食料の多くを外国から輸入(ゆにゅう)しています。食料を作るにはたくさんの水が必要です。つまり輸入を通して外国の水を使っているということです。たとえば、牛を育てて、牛丼1杯をつくるまで、なんと500mlのペットボトルで3,780本の水が必要といわれています。
※UNEP 国連環境計画(2008), Vital Water Graphics
商社は世界の水問題の解決(かいけつ)に力をそそいでいます。水質汚染(すいしついおせん)が大きな問題となっているメキシコでは、地元の建設(けんせつ)会社と共同で、大型の下水処理場(げすいしょりじょう)を建設し、下水処理サービスを提供(ていきょう)するプロジェクトに参加しています。また、水の消費量(しょうひりょう)が大きく増えている中国では、家庭などから出た水を浄化(じょうか)し、工業用の水などにリサイクルする処理施設(しょりしせつ)の建設や、汚(よご)れた水が土壌(どじょう)や川に流れ出すのを防ぐ高品質な排水(はいすい)パイプの製造(せいぞう)を行っています。
そのほか、干ばつがつづき水不足になっているオーストラリアでは、海水から塩分を取りのぞいて淡水(たんすい)にする施設の建設を行っています。このような商社の取り組みによって、水による環境の汚染(おせん)や水不足の問題が、世界各地で改善(かいぜん)されています。
水をきれいにする浄水設備(タイ)
下水用の排水パイプ